本作品の魅力は、ミステリアスな設定と、読者の背筋を凍らせる怖さにある。
誰が用意したのかわからないケーキ、不気味な視線、真夜中の訪問者という不穏な空気が、終始物語を支配している。
また、事件後の男の心理描写も丁寧になされており、恐怖体験が男に与えた影響の大きさがよく伝わってくる。
特に、忘れ去られた過去が、思いがけない形で現在に影響を及ぼすという、誰にでも起こりうる恐怖を描いた点が光っている。
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この小説の終始張り詰めた緊張感とサスペンスに満ちた展開は、ページをめくる手が止まらなくなる。
ラストの事件の真相が明かされる場面は、驚愕とともに背筋が凍る思いがするだろう。
このレビューを読んでいるあなたにも、この物語は起こるかもしれない...。
※作中に女性が二人ほど登場するのですが、改めて感情的な女はヤバいと思い知りました。
女に対して偏見や警戒心を抱いている人は、かまえて読んだほうがいいかもしれません。
まさか、ケーキを食べてあんなことになるなんて……主人公がトホホなクリスマスを過ごすことになって気の毒です。
「人間て怖いな」より「人間てイヤだな」のほうが強い内容でしたが、人怖系が好きなかたはオススメです。
また、誰かが命を落とすこともなく、おどろおどろしいシーンもなく、オバケが苦手な人でも読めるかと思います。
「ホラー」にくくらず人間ドラマとして成立します。是非読んでみてはどうでしょう。