第4話
BLACKCAT 第4話
「あんなに慌てなくてもなぁ。」と1人になった部屋で嬉しそうに笑う。
レオンがキッチンへ戻ろうとした時、ガタンとキッチンの方で物音がした。レオンは、急いでキッチンへ向かう。
そして、「動くな!」と拳銃を構えてキッチンを見渡す。
そこにいたのは、椅子に立ってキャビネットの中のシリアルの袋を握りしめた4、5歳ほどの少女。
「お前は誰だ。」とレオンはいつもより警戒して言った。
そして次の瞬間「ぴぎゃっ!」と少女が椅子の上から落ちた。
そしてめちゃくちゃ派手に転んだ。
「おい、大丈夫か・・・?」と拳銃をしまって少女を起こそうとした。はずだった。
一瞬で視界が暗転し今は、少女が自分の上に乗り、挙句の果てに、拳銃まで突きつけられてるっていう状況だ。
「お前は誰だ。」ともう一度レオンは聞いた。
少女は、顔を顰め、「お前には関係ない」と言い放った。
どのくらいの時間、問答を続けていたのかは覚えてないが、わかった事がある。
少女の名前は、《エマ》
そしてわかった事がもうひとつ。
アリスの娘らしい。
「アリスちゃんに子供がいたなんて・・・・・。」と落ち込むレオンに目もくれず、エマはシリアルを皿にザラザラと入れていく。
「おじさん、いい加減機嫌なおしたら?」
「おじさんって言うな!俺はレオンだ。」
「へー。あんま似合ってないね。全然ライオンっぽくないし。」
と軽い会話を交わしていると、「ただいま〜」とアリスが帰ってきた。すると少女は、一目散にアリスの所に飛んでいった。
「ママ、おかえり!」
「ただいま。エマ、ロイにちゃんと家に帰るって言ったか?ロイがめちゃくちゃ心配してたけど?」
そう言われて、エマと呼ばれた少女は、はっ!とした顔をした。
「あ、忘れてた・・・・・。ロイくん怒ってるかな・・・・・?」とシュンとする。
「怒ってはないな。」と言いながら、エマの頭を撫でるアリス。
「あ!ママ!おうちに変なやつがいたよ!だからね、エマがやっつけるの!」
「変なやつ・・・・?」とアリスは首を傾げる。
「アリスちゃん、おかえりー!!」とレオンはアリスに抱きつく。
「どいて。」
「やーだ。」
「ママにくっつくな!」
「とりあえず、2人ともどいてくれ・・・・。」
とアリスはため息混じりに呟いた。
「アリスちゃんに子供がいるなんて、聞いてないんだけどー!」とレオンはアリスの頬を指でつつく。
「痛い!うるさい!とにかく離れろ!」とレオンを引きずるように、アリスはリビングへ歩いていく。
「んで?どういう事かな?アリスちゃん!」とリビングのソファの上でレオンに尋問されている。
「どうもこうもないよ。エマは、私の娘。って言っても、私が産んだわけじゃない。エマは、あの子は、試験管ベビーだからね。」
「試験管ベビー……。聞いた事はあるけど、まさか現実にいるとは、思わなかったな。」
「でしょ?私も最初は、半信半疑だった。けど、研究所の試験管の中にいたあの子を見て、現実に起こっていることなんだって一気に現実が押しよせてきた感じよ。」
とアリスは、悲しげな表情をした。
BLACK CAT 宮下ゆずき @miyasita_yuzuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。BLACK CATの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます