なぜ『鬼滅の刃』は女性作家叩きが多いのか? もしくは女性人気の謎

curuss

第1話

1 どうみても絵が下手ではない


 作者は絵が下手だから理解できないのかもしれませんが、凄く上手に思えます。

 なによりも大切な『クリエイターとしてのオリジナリティ』すら獲得済みとも。

 美術学的な見地でいうと間違いだらけだったり、デッサンなどが怪しく思えるのかもしれませんが――


 そのレベルで批評に値するのであれば、一定水準を超えている証拠


 としか思えません。



2 動きが分かり辛い


 これは私も同感です。

 世間一般では――


 吾峠呼世晴は絵が下手だけど、漫画として十二分に成立している


 が定評ポイですが、むしろ逆に思えたりも?

 歴代でいうと鳥山明などが『漫画の上手い絵』とされているそうです。

 いまでは参考にされ過ぎて目立ちませんけど、読者の視線まで意識し、その動線をアクションの向きと一致される手法は、鳥山明からとまで。

(同時に鳥山明は『絵も上手い』らしく、だからこそ常にレジェンドとして挙げられるらしい)


 しかし、明らかに『絵が下手』と判る作品でも、作中のアクションは理解しやすいものもあります。

 作品名を挙げて良いのか苦しみますが――

 『進撃の巨人』の初期は、さんざん絵が下手と叩かれてましたけど、動きが分かり辛いとは言われてなかったように思えます。

 つまり、真の意味で『絵が下手だけど、漫画として上手い』のではないでしょうか?

 よって吾峠呼世晴は『絵は美味いけど、漫画として下手』というべきとも。

(しかし、敢えていうならばレベルであり、普通にプロレベル水準でしょう)


 ……バトル物志向じゃない可能性も?

 もしくは『バトル物志向ではあるけれど、バトルシーンそのものには興味が薄い』とか!?

(ようするにバトル物も好きだったけど、バトルシーンは読み飛ばし気味だった!?)

 で、試行錯誤の結果、苦肉の策としてあの波の演出だった?

 しかし、絵描きとして一定水準の能力がないと、あれから動きを感じ取るのは難しそうです。

 一定水準以上の能力者集団――アニメーターによって動画化され、やっと作者のような凡人にも動きが理解できた?


 ……少し想像に過ぎました。

 でも、『動きが分かり辛い』のは事実でありつつ、『読み解こうとすれば読み解ける範疇』でもあったり!?

 なぜならアニメで評価されたんですから!



3 幕間の『笑い』が不愉快レベルに詰まらない


 ほぼほぼ我妻善逸が悪い!(苦笑)


 いや、私は好きですよ? 鬼滅ギャグも善逸君も?

 でも、男ウケするかといわれると……それは厳しそうというしかなく。

 男視線だとポップ枠を狙おうとして、見事に外した感じ? 序盤のポップも殺す提案されていたらしいですし。

 序盤ポップが主人公と友情育むでもなく、ド根性で成長するでなし、それでいてギャアギャアと騒がしかったら――


 そりゃ男の子ウケしませんわ!


 さらに十中のうち八から九は、完全なる足手纏いですし。ヘイトすら集まりかねない?

 でもね、大人になると駄目さ加減を許せるようになるというか……そうならざるを得ないというか。

 あと女の子は母性本能の問題なのか、この手の駄目っ子がクリティカルな層いるんですよ。

 ほんまもんの屑のヒモでも、なぜか養ってくれるひとがいる不思議! あれと同じじゃないかなぁ?



4 主人公が怒るシーンに共感できない。もしくは変に感じる


 これは物事の順番が逆に思えました。

 おそらく男読者にとって――


 鬼滅隊メンバー――特に主人公の『竈門炭治郎』のクールタイムが短すぎる


 のが、いまいち納得できないというか、主人公に寄り添って違和感を覚えさせるのではないかと。


 例えば強敵を倒したとします。


主人公「これでッ! どうだ! 究極奥義!!!」

読者(うおぉぉッ! やったれ主人公ッ! くぅッ! 奥義すげぇッ!)


主人公「勝ったぁーッ!!」

読者(フォオオオ! フヒー! フォウ! フォウッ!)


 が標準的な漫画の流れでしょう。

 しかし、鬼滅の刃では――


炭治郎「これでッ! どうだ! 究極奥義!!!」

読者(うおぉぉッ! やったれ主人公ッ! くぅッ! 奥義すげぇッ!)


炭治郎「……ああ、お前も可哀そうな鬼だったんだね。せめて安らかにお眠り」

読者(フォオオオ! フヒー! フォ……えっ? なぜメロウ!? メロウなんで!?)


 なイメージです。

 で、これを二回ほど繰り返されちゃうと――


 あれほど温厚な炭治郎がガチギレでも、一部の読者には疑問でしかない


 となるのではないでしょうか?

 人によっては、炭治郎が本物のサイコパスとすら?

 皆に嫌われている義勇は、滅した鬼の服を踏みつけにして炭治郎に怒られていたけど――


 むしろ滅して一分も経たないうちに敵意の消えてる炭治郎の方が怖いよ!


 いや、分かるよ?

 最終的に鬼へも情けをかける炭治郎だからこそ、鬼滅の刃は作品として素晴らしいと思うけど――


 それでも感情のスイッチ入れ替わるの早すぎねぇ?


 こういう部分こそ、男女作家の差と受け取るべきだと思います。

 偏見かもしれないけど、女の人って――


 感情の切り替えが早いと思います。


 『敵として究極の対処』が済んでしまったら、それはそれとして切り離せるというか――


 別れた瞬間に、数秒前まで恋人だった男を嫌いになれる速度がある


 というべきか(苦笑)

 ……敵の情報ですら上書き保存?

 ですが男の場合、一度点けたら生半可のことでは消えない炎の如く感情を昂らせます。

 なぜなら、そうでもしないと喧嘩に勝てないから。

 どうして男がゲームやスポーツに熱狂的かというと、そうなるべく訓練しているからでしょう。

 当然、その炎を消す機能も、抑える訓練もしてきていません。


 よって、最終的には炭治郎の気持ちに寄り添うこともできるけど、やはり、その切り替え速度には間誤付く……のかな?

 それが無理だと、場合によっては炭治郎の怒りに寄り添うことも難しくなる?



 ……感情の切り替えが早いというのは、怒り方向へもいえたり?

 炭治郎と感情を寄り添わせようにも、その怒りのボルテージが上がる早さについていけなく!?

 となると一人冷静なままの読者は、まるでサイコパスの凶行を見せられている気分となり、だんだんと乖離して?


 もしかしたら少女漫画は感情の切り替えを急ピッチに、男漫画は緩やかにがミソなのかも?

 鬼滅の刃は男の私には、やや違和感があったけど……逆にいうと一般男漫画は、女性読者にはスローリィな可能性も?

 つまり――


「この主人公、どうして怒らないのかな? ちょっと鈍すぎない?

 それに、まだ倒した敵を憎んでいる。殺した相手を憎むとか意味不明」


 とか感じてたり!?



5 まとめと蛇足


 まあ、べつに正解でなくても良いかな。

 この手の考察は長い歳月をかけて積み重ね続けて、いつか何かとなるのだろうから。

 ですから一つの見解程度にとどめて下さい。


 それに吾峠呼世晴の才能は、違う部分だと思いますし。

 なんというか、さすがに台詞の全てが素晴らしいとはいえないけれど――


 ギラギラと輝かんばかりの才気を放つものも!


 しばらくぶりに唸らさせられましたし。

 この人はキャラ設定と言葉選びが抜きんでているから、その頭角を顕したんじゃないかなぁ。

 そこへ目を向けない論評は、正直いってセンスないとしか。


 ……無惨様とか、エポックメイキングでしょう!

 無理なく全読者が嫌えるとか! もう悪フェチですら跨ぐんじゃ!?

 ここまで清々しい小物のラスボス、一周回って凄すぎる!

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