第11話 世界の終わり

 今日、私だけの世界が終わった。

 

 勉強は得意。自分の努力次第で点数はとれるから。

 でも人間関係は苦手。相手の気持ち次第だから。


 そんなこと言ってた私の、小さな世界が今日ちょっとだけ崩れてね。

 暗闇の中に光が見えた気がした。


 キラキラモテ女子、翠ちゃんの世界とか。

 自分なりの道を歩んでる、星奈の世界とか。


 私には縁がないと思っていた世界との交差点に立ってみると、私だけの世界からは見えなかったものが見えた気がする。




――人生、失敗したくない。

――失敗はしたくない。だけど……

――一体何が「失敗」なんだろう?


 学校行かないこと?

 勉強できないこと?

 コミュ障で友だちとか恋人できないこと?

 親の言いなりで自分がないこと?

 逆に、親の言うこと聞けないこと?




 世界が終わる。

 それは悪いことなんだろうか?


 世界が終わったら、新しい世界が始まる。

 どっちがいい世界なのか分からないけれど、前よりはちょっと広くはなってんじゃないかな?


「ねぇ、お母さん。私、漫画家になりたいんだ」


 世界が終わるのは怖いけど、踏み出してみないと分かんない。

 踏み出した先が落とし穴でも、落とし穴の中にも世界はあるんじゃないかな。

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寺内敦子の受難 江野ふう @10nights-dreams

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