命日(5)

 疲労感の取れない目覚め

 冬の冷気で冷え切った部屋

 側に残る一人分の温もり


 雨がシトシト降っていたようで

 窓の外はまだまだ暗い

 そろそろベッドを抜け出そう


 生活感の溢れる部屋に

 一人分の朝食

 出勤までのルーティン


 家族からのLINEは

 いつもと何も変わらぬ調子

 なのに少し物悲しい


 ジャケットに袖を通し

 マフラーを巻いて

 ドアノブを回す


 雨上がり

 冬の澄んだ空気

 あの日の空を思い出す


 皮肉なくらいに青い空

 もう聞こえ無いあの声は

 今も胸の奥にある

 

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白猫詩集 宵埜白猫 @shironeko98

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