宵埜白猫

　魔法の天才であるリエールは、次期長老として期待されるが、それを疎ましく感じていた。他の魔女と同じように、もっと自由に生きていたいと。そんな思いを抱えたリエールが、『魔女』と呼ば…

　僕が生まれてすぐ、父は病気で死んでしまったらしい。いつも僕の写真を撮っていたのに、自分は一枚も写っていないから、今になっても僕は父の顔を知らない。ある日、父の荷物を整理している…

　老人が縁側に腰掛けて、人生を振り返る。 　振り返ると気づく。自分の人生の大部分が、いつも隣りにいたその人に彩られていたことに。

　主人を無くして、その悲しみからも立ち直って、私はやっと一人の生活に慣れてきた。 　それでも、全く寂しくない訳ではない。 　それを察した様なタイミングで、息子が顔を見せてくれた。…

　私は菜月のことが好きだ。 　だけどその想いを伝えたら、友達ですらいられなくなるような気がして、ずっと胸の奥にしまい続けている。 　そして今日も、この想いは言えないまま。

　いつも通りの業務の中で、私はふと先輩の言葉が気になった。間違った事を言っている訳でもないし、攻撃されている訳でもないり 　それでも、心は少しずつささくれていく。

　学校の裏山で星を見た帰り道、僕は黒い箱を見つける。 　それは周りから浮くほど強調された黒で、異質な魅力を放っていた。 　果たして、その黒い箱は一体何なのか。

　ある日、都会で暮らす叔母から、一通の手紙が届いた。 「私の持つマンションの一室に空きが出たの。前に会った時、都会に出たいって言ってたでしょ。もしよかったら来週内見に来ない？」 …

　魔族と人間の争いが激化する中、勇者と呼ばれる者たちは、この辺境の村にはいなかった。 　戦火に焼かれ、多くの人が死ぬ。村の終わりを避けることも、もうできない。 　けれどその中に、…

　ある雨の日、私は帰路で叫び声を聞いた。 不安を掻き立てるような、酷く不快な声だった。 叫び声から逃げるように、家路を急ぐ。 その声の理由を知るまでは……

日常で感じる些細な思いを取りこぼさないように、詩というよりは備忘録。

　一時期Twitterで投稿していた朝の短編をまとめました。 　オリジナルもありますが、私が小説を担当しているサークル『夕暮れのメルヘン』の短編が多いです。 　サークルでどんな作…

　母を失ってから時間が止まったように無味乾燥した日々を送っていた後藤周作は、ある日半ば家から追い出されるような形で、外に出た。 　腹が立つほど綺麗な夜景の中で、周作は少女に出会う…

　高校2年生の夏、佐藤陽菜はいつものように放課後の教室で過ごしていた。 　クラスメイトの須藤瑞雪を眺めながら、物思う。 　友人ですらない二人のプロローグ。 　その一日がどうあろう…

　高校生の舞は、祖母の雪江から白い猫のぬいぐるみを貰う。 　それからしばらくして、亡くなった雪江の葬儀も終わり、悲嘆に暮れる舞。 　そんな彼女の前に現れたのは……

　地元の小さな本屋に立ち寄った私は、ある売り場に馴染みのある本が並んでいるのを見つける。 「その本、いいですよね」 　これは、何でもない日の物語。

　KAC2022最後のテーマ、『日記』のお話です。 　20歳になった息子が、日記を通して初めて聞く、寡黙な父の本音。 　これは不器用な父が、息子を見守り続けた物語。

　宵崎奈緒子は深夜に一人、職場の屋上に立っていた。 　忙しなく、代わり映えのしない日常、自分を無為に消費するようなこの人生を終わらせるために。 　そんなとき奈緒子の耳に届いた声が…

　夫の育休期間が終わり、日中は一人での子育てがスタートした霜月冬香。 　しかし、一人だけで家事と育児をこなすのは意外と大変で……。

　順風満帆だった人生で味わった初めての挫折。 　その中で絶望した佐々木優花は、遠い田舎にある実家に帰省した。 　そこで語られる父と娘の本音。 　これは息苦しさを感じている人に送る…

　神崎雲雀は今、人生の岐路に立っている。 　それは、この部屋から出るか、このまま留まるか。 　誰もが毎日繰り返すその選択が、今の雲雀にとっては何よりも大きな意味を持っている。 　…

　夏樹と冬弥のリモート飲み会です！ 　お久しぶりのお二人。

白石奏吾はピアノの演奏が趣味である。しかしその音を大勢の前で披露することは無い。 なぜなら彼は、その演奏を一人の女性に捧げているから。 無口な愛を、演奏に乗せて。 奏吾は今日もピ…

　大学で活動するサークル『お笑い部』。 　その中に、大学でも名の知れた名物コンビがいた。 　彼らは部の内外から持ち込まれた『事件』を、漫才を使って解決するのである。 　そんな彼ら…

　特に誰かに話すような希望もなく、怠惰な生活を送っていた大学5年生の桜庭和希は、友人の兄の結婚式で7つ上の紅葉咲に出会う。 　これはそんな二人が恋をして、想いを伝え結ばれて、一年…

　猫田花、10歳。私の娘です。 　先日授業参観で国語の音読を読み切って先生に褒められたとき、私を見てどや顔をしていました（←可愛い）。 　最近児童文庫以外の本にも興味を持ち、一般…

　小さなレストランでアルバイトとして働く梅田雄太は小さな悩みを抱えていた。 　そんなある日のランチタイム終わりに現れたお客さん。 　これは二人が綴る日常の１ページ。

　家族とはぐれたたぬきさんと、親を知らないきつねさんのお話です。

これは魔女様と二人の少女が過ごした、幸せな時間の物語。 　そして、魔女様が歩んだ過去の物語。 この作品は、公開中の『forget-her-not 《Re wri…

　新人賞の授賞式で、朝野葵はあの日の事を思い出す。もう一度立つ勇気をくれた彼女と出会ったあの日の事を。

　桔梗の目の前には、冷たくなった最愛の人がいる。ベッドサイドに置かれた手紙の封を切った時、彼女が知る想い―― 　誰かを愛する全ての人へ。この物語の後に、あなたの胸に残るものがあ…

　それは私と彼が初めて会った日のこと。彼が私を、救ってくれた日のことだった。 　――この世界に、奇跡なんてないよ。 　彼はそう言って私の頭を撫でた。

　私は痛みを感じない。ここから飛んだ時だけ、それを感じて生きてるって実感できる。 だから私は空を飛ぶ。今日、これで21回目。

　ある日、一人の神は悩んでいた。 　自分に意味はあるのだろうか、と。彼女は物語の神様。そんな彼女に、仲間たちは彼女のしていることの意味を話し始めるのだった。

　50年前、突如世界中に未曽有のウイルスが広まり、人類は壊滅寸前まで追い込まれた。これまで築いてきた文明の維持もできず、今この世界は荒廃している。 　そんな世界である日私が見つけ…

「彼女から手紙を貰ったんだけど、これが少し厄介でね」 　そう言って男が俺たちに渡した手紙には、わけのわからないアルファベットの羅列と数字だけが書かれていた。 　その暗号が示す意味…

　物心ついた時から殺し屋として生きてきた少女ヴィオラは、ある夜その短い一生を終えようとしていた。 　宵の闇が一層暗くなる路地裏で、壁に背を預けて目を閉じた彼女の前に”それ”は突然…

　文芸部員の月影朱里は部室の片隅で頭を悩ませていた。今月の部誌のテーマが『走る』に決まったからだ。 　『走る』なんて言葉に、物語は生まれるのだろうか。いや、アスリート達のドラマチ…

　新しい環境にはストレスがつきものだ。慣れない環境、人間関係、昨日までとは違う日常に、自然と溜息がこぼれる。 　新社会人の霜月奏も、例外なくその一人。そんな彼を癒すのは、白い小さ…

　読書好きの青年は、いつも近所の公園で本を読む。 　ある晴れた午後、彼はいつもと同じように公園に行き、本を開くが……。 　これは何でもない休日の、ちょっとだけいつもと違うある日の…

　何がしたいのか分からない。そんな呟きから始まる男子大学生の会話。ある日帰り道の居酒屋で、彼らはそれぞれの答えを見つける。

昨今の状況で変わった生活、そんな中での私の思いを書きました。 久々に書く文章が、今後の執筆につながるように。

　放課後、いつもどおり和人と帰ろうと彼を誘う恵だったが、和人の様子は何故かいつもと違っていて……。

　私の幼馴染の恵美はみんなの人気者だ。元気で運動もできて、誰にでも優しい。そんな彼女が私は好きだ。もちろん恋愛的な意味で。 　だけどある日、恵美は私にこう言った。 「私、好きな人…

自主企画『5mの可能性』参加作品です。

生まれつき色を認識できない少女と、彼女にいつも会いに来る少年のお話。

魔女、人間より体が丈夫で、ちょっとだけ不思議な力が使える。 人間と同じように、良い魔女も悪い魔女もいるけれど、私は良い魔女だと思いたい。

猫の命は9個ある。 １つの命を終えた猫たちは、静かな光の中で始まりを待つ。 これは最初の命を終えた猫と、最後の命を始める猫の、束の間の会話。 姿形は変わっても、今日も猫たちは生…

タイトルの通り、100の質問に答えました。 少し長いので、作者に興味を持ってくれる方は読んでみてください！