企画レビュー「限られた文章で美味しさと面白さを両立させるには」

実に面白い発想です。同じカレーでありながら国ごとに食べ方や味は千差万別。その国の歴史や文化が色濃く表れ、それぞれ独自の個性があるのものです。では、それら各国のカレーを食べ比べてどれが一番を決めようとしたら…いったいどうなるのか?

イギリスやインドのカレーについては有名ですが、フランス、中国、イタリアとあまりカレーに馴染みが無さそうな国が次々と名乗りをあげる点が新鮮で魅力的でした。

そして、料理対決に欠かせないウンチクの量も実に「判っている」配分です。
長文で延々と説明されてしまうとテンポが悪くなってしまうし、面白味に欠ける。それでも短編で面白い料理対決を描きたいのならどうすればいいのか?
答えはキャラクターとリアクションです。
この作品では各国の『偉人』に料理を語らせることで少ない台詞の中から強烈な個性を引き出すことに成功しているのです。誰もが知る歴史の有名人なら、あらためて説明せずとも皆が楽しめますからね。

読んでいるとカレーが食べたくなること請け合いの「一味ちがう」料理対決小説。グルメ系統の作品が好きであれば、是非!

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