第2話~祓い屋家業をサポートします!-あさげと調査編-①裏山の妖怪たち~

よるそとあかるく日差ひざしがりつけちいさなまどからひかりんでいた


ボクと2人の兄貴あにきたちはそれぞれ自身じしん部屋へやにパジャマ姿すがた部屋着へやぎ姿すがた布団ふとんていた


-昨夜さくや彼女かのじょったあと部屋へやもどまえボク兄貴あにきたちにめられた


奇理人きりとにいさんには

怪人かいと、お前はわたしたちよりもに日につよくなってきている。

だから彼女かのじょ本当ほんとうの姿がわかったしという事は依頼を遂行するのにことを忘れないように」と忠告ちゅうこくを受けたかと思えば傍にいた式神の妖たぬき""がボクに向かって走ってきて足元あしもとまり前足まえあしをちょんとボクあしせると

怪人かいとはん、あんまり無理むりはせんといてや~」と小声こごえで言い再び走って奇理人きりと兄さんのひざちょこんと可愛かわいく乗った


つづいて妖太ようた兄さんがボクに向かって近ずき耳元で「お前の力にはがあるが必要ひつようだ。だから無理そうだったら遠慮えんりょなく頼れ。じゃないとクロガネがうるさいからな…」と小声こごえでボソッと言ってきたがかたに乗っていた妖カラスの""がボクの肩に乗っていた""に「あさげちゃん、貴方あなたかいちゃんのこと助けてあげて頂戴ちょうだいな。貴方にしか助手じょしゅつとまらないって""も言っていたし奇理きりちゃんも本当は思ってるだろうからたのんだわよ。あたしたちもかげながら助けるから安心あんしんしなさい」と黒い羽根はねひろげ""の肩にちょんとタッチして言った-


とここまでがボクはというとで「あのやり取り心配されてるよね…」なんて思いながら布団を頭まで被り考えていると一緒に布団のなかで寝ていた""がボクの顔の近くまで来ると「心配なのはだから、ボクはだよ。君なら""と信じてるからね」とふにゃっと笑い小さく欠伸あくびをしてボクの胸にうずくまる


かべにかかっている時計とけい時刻じこくが"930"をしたころ枕元むなもとにもある小さなもピピピっと鳴りながら起きる時間じかんを知らせたのと同時に布団の中から人間の細長ほそながい手がびパチっと小さな音を立てて止まった


僕は布団から起き上がり「ん~~、朝か…。あさげ、おはよう」とのまま言いながら欠伸あくびをした


あさげも布団から出てきて布団を片付けている僕に近ずき立ち止まると「怪人かいとおはよう!今日きょうもいい天気てんきだね~」と言いながらフワッと笑った


そのころ奇理人きりと兄さんの部屋へやではいまだに布団の中にいる""がすでに朝6時頃から起きていて大学だいがくへ行く準備じょんびをしてから朝ごはんを食べに居間へと向かい再び部屋に戻ってきた奇理人きりと兄さんを見つけて布団から飛び出し肩に乗ってきた


奇理人きりと兄さんは「ちゃた、やっと起きたのかい?もう少し早く起きてくれたら一緒にご飯たべれたよ」と優しい眼差しでちゃたの顔を見た


すると、ちゃたは奇理人きりと兄さんに向かって「いつの間にご飯食べてきはったん?起こしてくれはったら良かったやん」と言ってしょんぼりしていた


それにたいして奇理人きりと兄さんは「ちゃた、昨日きのうあさも同じこと言ってましたよ。少しは自分じぶんで同じ時間に起きれるように練習れんしゅうしなさい」と説教せっきょうをした


そして奇理人きりと兄さんは荷物にもつを持ってちゃたに向けて悲しげな表情ひょうじょうで「ちゃた、これから私は大学に行くから部屋で大人しくして待ってるんだよ。兄さんが依頼の調査ちょうさに行ってるからクロガネと一緒に帰って来たら玄関げんかんけてあげなさい」と言いふすまを開けて出ると襖を閉めて廊下ろうかに出て玄関に行き靴を履いて自宅を出て行ってしまった


妖太ようた兄さんとクロガネはというと既に朝ごはんもませて着物きもの着替きが必要ひつようなものは革製かわせい丈夫じょうぶなカバンにしまって部屋を出て祓い屋の仕事仕事()の為に現在いまに来ていた


妖太ようた兄さんは肩に乗っているクロガネに「このあたりから異様いよう空気くうき気配けはいがする…。クロ、まわりを上空じょうくう見回みまわしてきてくれ」とたのむとクロガネは「はいよ~。ようちゃんのたのみとありゃ、頑張がんばらなくちゃね!」と自慢じまんくろはねばたかせ素早すばやがりそらからまち見下みおろした


するとなにやらまちまわりには薄黒うすぐろがあり、クロガネは「なんだい、あのは…」とつぶやくと地上ちじょうにいた妖太ようた兄さんのほうにへともどってきた


妖太ようた兄さんはクロガネに「何か変わった様子ようすはあったか?」と真剣しんけん表情ひょうじょうで言った時、クロガネは「あったわ。なんかが…、気持きもわるいったらありゃしないわよ」とプンスカした様子ようすで言った


すると妖太ようた兄さんは「そうか…。やっぱりな」とだけ言う

クロガネが「あら?やっぱり気づいてたの?さすがね。」と言った

妖太兄さんは少し呆れ顔で渋々「奇理人と怪人に報告しよう。何とかする方法を話し合うしかないな、帰るぞ」とクロガネに言った


僕はというと今日は土曜日だから学校は休み


ただ休みの日も学校がある平日の夕方~も自宅のある神社の境内で巫または禰宜(かんなぎ,ねぎ)として白と赤の着物を着てお手伝いをしている訳で


今日も指定の着物に着替えてから傍にいたあさげに「あさげ!今日も神社の境内、朝のお掃除しに行くよ!」と天真爛漫な笑顔で言う

あさげは「わかった!ボクも行く!」

と怪人の肩に乗り怪人も部屋から出て襖を閉めて廊下をしばらく歩いていくと突き当たりに階段があり、そこを下がるといくらか先に玄関が見えた


玄関に着くと草履が置いてあり玄関の上がり框に座り真下に置いてある草履を履いて立ち上がると和風なスライド式の木で出来たドアを開けて外に出ると明るい日差しが照りつける晴天でした


早速、外に出た怪人とあさげだが神主である父親"妖太郎"が来て怪人とあさげに

「おはよう。今日は11時から参拝の人たちが来るから母さんとアルバイトの巫女たちと一緒に境内の掃除と簡易テントの売り場と本殿の売り場にお守りとか補充しておいてくれ」と言うと父は神社の本殿に消えて行った


「あさげも境内、散策しておいで」

と僕が言うと「そうする~」と陽気な顔で肩から降りて、てとてと歩いて行った


僕はあさげが居なくなってから境内を掃除するために近くにあった木製の箒を手にして本殿前から箒を掃いていると本殿から出てきた母親"叶絵"に向かって笑顔で「母さん、おはよう!」と元気よく言うと

母さんは僕に同じく笑顔で「おはよう、怪人。朝からご苦労さま」と言うと僕が「母さん、妖太兄さん、いつになったら帰って来るの?」と寂しげな顔で聞いてみた

母さんは「そうね…。多分だけどもうすぐ帰って来るんじゃないかしら」と微笑み僕の頭をクシャッと撫でた


母さんが本殿に戻るとアルバイトの巫女さんたちが僕に近づいてきた

「怪人くん、おはよう!」

「怪人くん、今日もかわいいわね~」

「食べちゃいたいくらい可愛いいわ」

などと口々に言いながら頭を撫でたり顔を触ったり抱きついたりしてきた


「おはようございますっ!

今日もいい天気がいいですがスキンシップは程々にしてください(汗)

すごい恥ずかしいです…。

もうすぐ参拝のお客様がいらっしゃいますから話してください(泣)」

と言うと彼女たちは「ちぇ~。かわいい子を愛でるのは私たちの性なのにな~」


と1人が言うともう1人が目配せをして「だよね!怪人ちゃん、高2なのにちっちゃくて細くて繊細で顔も童顔でかわいいから愛でたくなっちゃう」と言うと


もう1人も「私もかわいい弟が出来たみたいで、このバイトやってて良かった~って思う!」と笑いながら話していると再び本殿から出てきた母さんに納品書の紙を渡され彼女たちは膨れっ面になると母さんは腰に手を当てて呆れた顔で

「怪人にくっ付いたり話したりしている暇があるのならばお守りとかの納品チェックしてきて頂戴。」

と言って巫女たちを本殿と簡易テントの売り場へと別れさせた


しばらくして妖狐のあさげが散策から戻ってきた頃には僕も掃き掃除を終え腕時計の時刻は10時30分を指していた


僕は「あさげも戻って来たことだし巫女のお姉さんたちの納品チェックが終わったら本殿か簡易テントの売り場で人手が足りてない方に回ろっかな」とつぶやくと母さんが僕に近づきニッコリ笑顔で

「怪人は顔がいいから境内の案内役を頼みますよ、あさげもちゃんと怪人のこと守って頂戴ね」と肩に乗っている、あさげの頭を優しく撫でると彼女に向かって

「お母様の頼みならばボクは式神として坊っちゃまをお守りいたします」と頭を下げながら言った


巫女のお姉さんたちも30分かけて、ようやくお守りとかの納品チェックが終わったようで口々に「疲れた~」だの「参拝者の人たち来るけどイケメンかかわいらしい少年とか来ないかしら~」とか

「やっぱり素敵な人と出会えないかな」など言っているが監視役で立っていた母さんにまたもや険しい顔されながら

「貴方たち。私語は慎みなさい。

参拝者の人たちに神社の雰囲気が良くないっていわれるわよ」と言って私語をやめさせていた


腕時計の時間は11時を指したところで門の前に並んでいた参拝者たちを僕と本殿から出てきた神主である父親が対応に追われた


参拝者の中に紛れて何か怖くて淀んでいる雰囲気と空気が入り込んできた…

間違いなく悪い妖怪の気配がした

だが父親には分からなかったようで平然とした顔つきで参拝者を案内していた


僕とあさげは目配せをして父親に向かって「父さん…。ちょっと体調わるいから休憩室か自宅に戻ってもいい??」

そう頼むと父親は不安げな表情で僕に

「そうなのか(汗)大丈夫か!

あまり無理はするなよ…

最近は体調管理が難しいからな。

自分の部屋に戻っていいから数時間の間だけでも休みなさい、母さんには言っておくから」と言い背中を押してくれた


僕は境内の参拝者の人混みに混じり自宅へと足を進ませた


やがて人混みが切れて自宅が見えてきた時、鍵を忘れたのか或いは妖たぬきのちゃたが居眠りしていて気づかなかったのか分からないが肩に黒いカラスを乗せている背の高い和服のイケメンが玄関ドアの脇に立っていた


"妖太兄さんだ。帰ってきてたんだね…"と僕が心の中で思うと妖太兄さんは視線に気がついたのかこちらに向かって歩き「怪人、お前は今日は神社の手伝いだろ?なんで戻ってきたんだ」と言うと

僕は「ちょっと話したいことあるから中に早く入って(汗)」焦りながら僕は妖太兄さんの背中を押して玄関ドアまで近づいて扉を開けさせ中に入った


中に入り居間へと向かい入ると2人は椅子に座ると式神を肩から下ろし膝と座椅子の背もたれの上に乗せると妖太兄さんに僕は複雑で真剣な顔つきをしながら

「神社の境内に強力な妖力を持った怖くて黒い影みたいなのが入り込んだみたい。それの妖力にやられてちょっと気持ち悪くて手伝い抜けてきたんだ」

と言うと妖太兄さんは僕に真剣な顔つきで「俺もお前に報告しないと行けない事があってな…。多分だがそいつを連れて来ちまったのは俺だと思うんだ。

上手く巻いてきたとは思っていたが俺とクロの魔力と霊力が強いせいか悪いものが入り込んできてしまったんだと思う」と落ち込んだ様子で話し始めた


「今朝方、俺は街の中心に行ってクロに空の真上から怪しげな雰囲気と気配の妖怪が居ないか調べてもらったんだがあの女が神社に現れた次の日に沢山の妖怪が地上に出て来ちまったんじゃないかと予想してるんだが怪人はどう思う?」


すると僕は

「多分そうだと思う。だけど僕は妖怪を認知できるし声も聞こえるから調べるなら僕が適任なんじゃない?」

と言うと妖太兄さんは僕に向かって

「わかった…。とりあえず明日は怪人、お前が聞き込み調査してくれ」と言った


僕は「わかった。いい妖怪さんも近くにいるはずだからここ最近の出来事について聞き込み調査をしみるね」と言って居間から出た


部屋に戻った僕は巫の制服から私服に着替えて中くらいのカバンを出してきて

「魔力と霊力の補充できるジュースとクッキーバー、あと水分補給の水ある。OK」とちゃぶ台にある物を指さしてからカバンに入れた


あさげが「他に必要なものは?」とカバンを覗き込んでから僕に言ってきた


僕は「大丈夫だよ、さっき入れたから」

と言うと「ならいいんじゃない」と言いちゃぶ台から降りた


「よし準備万端!あさげ、調査しに行くよ~」と呼びかけるとあさげは僕の傍に近づき肩にシュパッと乗った


自分の部屋を出て廊下をしばらく歩き突き当たりにある階段を下がると玄関とは真逆の方角に歩いていくと非常口として使っている裏口に辿り着いた


「事実上は体調不良って父さんたちに言ってるから玄関からは出れないから、この裏口から出よう」とあさげを見ながら言った


するとあさげは「らじゃ!」と額に手を当てるように前足を当てると小声で言うと僕は頷きゆっくりとドアを開けて静かに歩き出した


そして外に出ると薄ら霧がかってることに僕は気がついた

「あさげ、なんか霧がかってるね…

怪しい雰囲気だと思ってたけど調査は気合い入れてやろう」とあさげを見て言い

あさげは何も言わず頷いた


霧がかってることで父さんたちにもバレず裏口から出られた


神社の裏側を回って行き裏にある山に入った


神社の裏山には仲良くしている妖怪が住んでいる


彼らは小さな頃に助けてくれた恩があり何かとお世話になっているのだ


僕は山の中で「みんな~、お願いがあるんだけど出てきてくれないかな!」

と叫ぶと近くの草むらがガサガサっと音がして小さな妖怪が出てきた


「お久しぶりです、怪人どの。

あさげ様もご無沙汰しております」

そう言うとあさげが小さな妖怪に

「久しぶりだな、元気してたか?」

と肩に乗ったまま言った


すると小さな妖怪は

「怪人どのは今、この街に起きている現象を調べたくて我々に協力して欲しいということでは?」

と怪人を見上げながら言うと怪人は

「よくわかったね、どうして?」


すると小さな妖怪は

「今、この街は悪い妖怪たちによって街の空気が変わってきてしまっているのです。我々も怪人どのとあさげ様にご相談したく思っておりました」怪人に真剣な顔つきで言った


僕は小さな妖怪に

「そう…、なら良かった。

他の妖怪たちも読んできてもらえる?

皆に手伝って欲しいことあって」と悩む顔つきをして言うと小さな妖怪は

「かしこまりました。

では暫くお待ち頂けると助かります」

と言いながら頭を下げると小さな妖怪はその場から立ち去って行った


小さな妖怪が立ち去ってから数分が経ち再び裏山に小さな妖怪が戻ってきた時、巨大な妖怪が2~3人と中くらいの妖怪が数十人つれてきた


それを見た僕とあさげは唖然とした

巨大な妖怪たちの迫力に………


「お疲れ様。しかし随分と強そうな妖怪たちが何人かいるけど調査、手伝ってくれるいい妖怪さんなの?」

と不安げに小さな妖怪へ言うと彼は

「はい!大丈夫ですよ~

彼らは皆、あさげ様や怪人どのに協力したいと言ってきたもの達ですぞ」

と胸をはるポーズをして誇らしげに言った


「ならいいけど…。めっちゃ不安」

と僕がボソッと言ってしまうと

あさげがすかさず小さな声で僕に

「ダメだよ(汗)そんなこと言ったら彼らに失礼でしょ…」と言ってきた


改めて僕は彼らに向き直り巨大な妖怪を見上げるようにしていると1人の巨大な妖怪が「怖がらないで。私は害のない妖怪だから」と僕らに言った


僕はその妖怪を見て安心したのかスっと肩の力が抜けたように身体が軽くなった


「害のない妖怪なら信じてもいいの?」と僕がその妖怪に向かって言うと

その妖怪は「信じてください。

わたしは貴方たちの味方、嫌がることはしない」と言った


「なら早速で悪いけど僕らの頼み聞いて欲しいんだ…。」

と不安げに話 話し始めると巨大な妖怪は「わかった。聞こう」と言ってくれた


僕は早速、彼らに事情を話し調査の手伝いをして欲しいと頼むと妖怪たちは直ぐに去って行き調査へと向かって行った


それを見てから僕とあさげも

「お願いを聞いてもらったから僕たちもそろそろ帰るね」

と小さな妖怪に言うと小さな妖怪は

「わかりました。では私も調査のお手伝いをさせていただきたく思っておりますので良くれば頼ってくださいませ」

と言ってきた


それを聞いて「じゃー、お願いするよ。ありがとう、助かる!」と僕はニコッと笑顔で言い背を向けて山を後にした


しばらく来た道を辿って山を降りて裏山を出て神社の境内には戻らず裏口から自宅へと戻り時刻は14時30分。


自宅に戻るとゆっくりと自分の部屋に戻り荷物を下ろしあさげも肩から降りると僕は服を脱ぎ再び巫の服を着直しそばに居るあさげに

「境内に戻るよ。あまり長いと怪しまれるから」と言う

あさげを肩に乗せて部屋を出て廊下をしばらく歩き階段を下がって玄関で草履を履いて出て境内に戻った

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

現翔院 怪人のマジカル妖魔ファンタジー~裏稼業サポートします!~ 月野 灯花莉 @syousetu_love315

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ