ニコとニカ

川津 聡

ニコとニカと流れ星の王子様

むかしむかし。

ある森の中の小さなお家に二人の女の子が住んでいました。


ニコは黒髪の女の子。

綺麗な黒髪が油まみれになるのも気にしないで、毎日機械をいじり回しています。


ニカは金髪の女の子。

綺麗な金髪に太陽の光をめいいっぱい受けて、野山を駆け回って狩りをしています。



☆・。・゜☆・。・。★・゜・。・゜。・。・゜☆・。・。★



星降る夜に、一際大きな星が落ちました。


「あれは何かな。君の金髪ハニーブロンドみたいに光っていたね」とニコ。

「あれは何かしら。あなたの琥珀の瞳のようにきらめいていたわ」とニカ。


「明日 見に行かないかい?」とニコ。

「明日 見に行きましょう?」とニカ。


二人は約束して、眠りに落ちました。



゜・。。・゜゜・。。・゜゜・。。・゜゜・。。・゜゜・。。・゜☆



次の日。

二人が星が落ちたところに行くと、そこには空からの乗り物と、一人の男の子がいました。

二人は、その男の子を一目見て気に入りました。


男の子は、こう言いました。

「僕は、スター。遠い星から、この星の舟に乗ってここまでやってきたんだ。でも、途中、道に迷ってしまって……。お腹がペコペコなんだ。何か食べるものはない?」




「初めまして。私はニコ。この乗り物はどうやって飛ぶんだい?一緒に修理すれば、街までひとっ飛びだよ」

「ごきげんよう。私はニカ。この近くには、兎の巣があるの。一緒に狩りに行きましょう」




二人の提案に、スターは困った様子。


「スターは私と街へ行くんだ!」

ニコはニカに言いました。

「スターは私と兎を食べるの!」

ニカはニコに言いました。


「私と!」

「私と!」

二人はスターを巡って喧嘩を始めました。


「もう ニカなんて知らない!」

ニコはそう言って、一人で星の舟の修理を始めます。

「もう ニコなんて知らない!」

ニカはそう言って、一人で兎を狩りに行きました。



............................................................................................................


でも、いつも楽しい機械の修理も、いつも楽しい獲物の待ち伏せも、喧嘩をしていたらおもしろくありません。


............................................................................................................



「ニコ、ごめん!」

狩りの途中で帰ってきたニカが謝ります。

「ニカ、ごめん!」

機械の修理の手を止めたニコが謝ります。


ニカがニコに言いました。

「許してくれる?」「もちろんさ」

ニコがニカに言いました。

「許してくれる?」「もちろんよ」


「こんなものが私たちの世界にあるからいけないんだよな」

ニコが星の舟を見つめてわらいました。

「こんなものが私たちの世界にあるからいけないのよね」

ニカがスターを見つめてわらいました。




「じゃ、仲直りに分解を!」

「じゃ、仲直りに解体を!」

二人はお互いを見つめて、とびきりの笑顔でわらいました。



゜・。。・゜゜・。。・゜゜・。。・゜゜・。。・゜゜・。。・゜



その日の夜。

二人は、ニコが作ったラジオで音楽を聴きながら、ニカが作ったシチューを一緒に食べました。



〜おしまい〜






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ニコとニカ 川津 聡 @KAWAZU_satoshi

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