退廃した世界。人々はその魂の穢れに応じて、身体が腐れるようになった。つまり、魂が汚れれば、人間は簡単にゾンビになるのだ。そんなゾンビを狩る組織に所属するシスターがいた。ゾンビに「アーメン」とつぶやいて手榴弾を投げるという、楚々としたシスター像とは一線を画した女性だった。
そんなシスターには、行動を共にする悪魔がいた。饒舌すぎるところを除けば、イケメンで通るかもしれない悪魔だ。シスターが悪魔を許したのでも、望んだわけでもない。ただ、悪魔の方がシスターを気に入ってついて回るのだ。
シスターは、あるものを探していた。その旅の終着で、悪魔とシスターは一つの賭けをした。この建物の中に、シスターが探している物があれば、シスターの勝ち。シスターの探し物がなかったら、悪魔の勝ち。
しかしその建物の中にもゾンビが出現し、襲い掛かってきた。
絶体絶命のピンチの中、賭けはどちらが勝つのか?
そして、シスターが探し求めていた物とは?
是非、御一読下さい。
天使と悪魔の激突に、世界は壊れた。
以来、人は罪を犯すとその魂は穢れ、肉体が汚染されていく。
やがて、穢れきった人は、ゾンビと呼ばれる異形に成り果てた。
それを討滅する存在〈必要悪〉の一員たるシスターは、惨状の元凶たる悪魔の一人に付きまとわれていた。
悪魔は興味本位。そのシスターについて回り、それを観劇する。
その魂がどう穢れるかを楽しむ、悪趣味な観劇を行っていた。
それにシスターは何も言わず――ただ、行く先で賭けをもちかける。
悪魔は何気なくそれを受け、シスターに同行する。
その賭けの結果――悪魔は、一つの真実に出会う。
好奇心のまま、人を唆し、その魂が別の色に染まるのを楽しむ、いわば昔ながらの悪魔。古来からの作品は、その悪魔によって堕落する人間の様が記されている。
だが、今作品では、その悪魔に視点があてて、その内面を巧みに書き起こしている――冷たさの中に、ほのかに温かさが残る、歪な作品だ。