転生IFの歴史モノは戦国時代に偏りがちなWeb小説界隈において、幕末を舞台にしつつ、時代考証や諸設定をここまで細やかに織綴った作品はお見事。
姫に転生したのは百歳のお爺さんの筈なのですが、この主人公が時に年相応に思慮深く、時には妙に現代人っぽい快活さで活躍していく様は、両方とても魅力的ですし、その脇を固める人物達も実に独特な個性を持つキャラクターであるばかりか、名前をググると全く違う人生を歩んだであろう有名人が出てきたりするなど、華やかなキャラクターの魅力と、細やかな歴史考察に基づくIFストーリーの組み合わせは読んでいてとても新鮮で楽しいです。
あえて例えるなら、初めて食べた時の「イチゴ大福」的とでも言いますか。
私としては、とにかく話の続きが気になる作品です。
タイトルで全てを語ってしまったが、漢字中毒のためにあるかのような硬派な文章の中に異世界転生チートで行うようなことをさらっと行って歴史を改変していく時代小説……。
これだけならそれなりにあるだろう……だが、その中に一般人にはわかりにくい名前で登場する数々の歴史上の偉人が、多数含まれている。
学校の授業だけではわからないような名前で登場する偉人達が気付けばいつの間にか生存ルートを辿り、彼等が生きていればどうなっていたのか、そんな想像力を……ワクワクを掻き立てる作品がこれなのだ。
気付ける人はクスリと笑える1幕があちこちで見られる……いや、設定細かすぎませんか?(褒め言葉