あとがき
ミドエンシリーズもepisode0から数えて通算四作目となりました。もう本編は三作目ですよ、早いなぁ。
全十話の連続ドラマなら本作は第五話~六話くらいの感覚で書いています。笑
Act1~Act3までの各章タイトルの仕掛けには気付きましたか?
Act1、Act2、Act3のタイトルの最後の文字だけを縦読みしてください。ちょっとした怖い言葉遊びです。クロスワードパズルが好きな人は目次を見た時にきっとすぐに気付きますね。
“現代の日本の闇を描く”を軸としているミドエンシリーズのep3【夏霞】のメインテーマはSNS、本作は特にインスタグラムに焦点を当てています。
SNSは正しく利用した場合は顔も本名も知らない人の言葉や存在に救われる時もあります。だけど使い方を間違えれば自分と他人を苦しめる凶器にも毒にもなりますよね。
SNSがない時代には上手く隠せた負の感情もSNSがある今は表面化しやすい。それ以外にもフォロワーの多さという名の人脈の多さやコミュニケーションスキルも数値として露骨に現れます。
愛佳が自分の悪口が書いてある匿名掲示板を見るシーンがありますが、ネット掲示板の空気感をリアルに再現するために参考資料として様々なジャンルの匿名掲示板を見て回りました。
マイナスな言葉が飛び交う掲示板の資料集め期間は毒が溜まって憂鬱になりましたよ……。
リアル掲示板での発言はあくまでも参考資料ですから、作中の掲示板の書き込み内容は私のオリジナルです。
好きの反対は嫌いではなく無関心とよく言われます。嫌いと言う感情は裏を返せば存在を気にしている、その人に対して無関心でいられなくなっている状態です。
SNSや匿名掲示板もそうですが、“見なくてもいいもの”をわざわざ見てしまって自業自得の不愉快を自身に植えつける行為は愚かで泥臭いですね。ある意味で自傷行為と同じかもしれません。
好きの反対が無関心ならば、嫌いと好きは親戚のような近い感情じゃないのかな。
人や作品に粘着するアンチは実は隠れファンなんですよね。その人やその作品に興味がなければ粗探しはしません。
興味がなくなれば存在自体を忘れるものです。
愛佳の悪口を掲示板に書き込む人達も愛佳に興味があるから四六時中、愛佳のインスタグラムを監視して粗捜しをして、ネチネチと粘着しています。これらの話も完全なフィクションではなく今もリアルタイムで起きている出来事なのが怖いですよね。
江東区看護師殺人事件の次は死体なきインスタグラマー殺人事件。こちらの犯人は男でした。
女を飾り立てたアートのための殺人とアートに隠された真犯人の犯行動機。
美夜が結婚式で受け取った
今回のキーアイテムは「花」です。
恋愛短編【トマトのカッペリーニ、冷たいパスタで。】では園美と雪斗の縁を繋いだ幸せの象徴の鈴蘭が今回は殺人の道具に利用されました。
結婚式の花嫁さんのブーケとしても人気のある鈴蘭ですが、鈴蘭の毒はフィクションネタではなく本当に人や動物を殺せてしまう毒性があるので注意が必要です。
あの青酸カリよりも猛毒です。
鈴蘭の愛らしい見た目に反した毒性は人の二面性の部分を暗に含ませています。この表と裏の二面性は理世、愛佳、祐実、小夏にも通じますね。
メインテーマがSNSなら裏テーマは家族。
本作には美夜の母親、愁の母親、伶と舞の母親の話がそれぞれ出てきました。
愁の母親は……木の下に……う、埋まってる……!?
愁は重くて暗いもの抱えています。重すぎて私も愁のバックグラウンドに思いを馳せると溜息しか出ません(〃´o`)=3
小夏の殺害でとうとう復讐代行人“エイジェント”の正体が明らかになりましたね。
エイジェントが殺人を行う場面はep3【夏霞】が初出しです。エイジェント=伶だと指し示す伏線はep1【春雷】から小出ししているので正体に気付いていた読者さんもいるかな?
エピローグで愛佳が呟く「ばいばい小夏」は自分で書いておきながらゾゾゾッと鳥肌が立ちました。目障りな人間はこの世から消してしまえ思考。
愛佳の本性は怖い……。
Act1で理世に殺された看護師の下山祐実にも誰も知らない裏の顔がありました。彼女がエイジェントアプリを使用する場面で明らかになる密かな殺意。
祐実がエイジェントに誰の殺害を依頼したかは、お読みいただいた方にはわかりますね。
本作には狂った女もいれば酷い男もいます。でもそれはきっと誰もが内に潜めている裏の顔でもあるんだと思っています。
冒頭の理世と香乃の悪口大会、理世と祐実の水面下で繰り広げられる女の戦い、愛佳と小夏の上っ面な友情、藍川と深井の嫉妬と優越感にまみれた友情、藍川と理世のすれ違いの両片想い……これ等はおそらくこの世界のどこかで存在している。
あ~こういう男も女も確かにいる!とフィクションに漂うリアリティーを感じ取っていただければ。
ミドエンシリーズはミステリーでもありますがラブストーリーでもあります。今回はお砂糖多めのカフェオレみたいにラブの分量が多めでした☕
でもお砂糖多めのラブの後は苦いブラックコーヒーのミステリーパートで後味悪く終わるのがミドエンシリーズらしいですね。そもそも読後が爽やかなシリーズではないので。
愁は殺し屋ver、秘書ver、プライベートverと三つの顔を使い分けていますね。某小学生探偵マンガのトリプルフェイスの人みたい……。
美夜に見せる顔はプライベートverですが、伶や舞に見せる顔とは違います。美夜と一緒にいる時の愁はよく笑って冗談も言って美夜をからかって、一番自然体で書きやすい。
美夜と愁の私服も書くの楽しかった♡
普段がお仕事スーツしか着ていない二人なので、私服なに着せよう〜♪愁には絶対にサングラスかけさせよう〜♪美夜も香水つけさせてみよ〜♪と、全力で私服シーンの描写を楽しみました。
そしてついに……ね!!
刑事と殺し屋がしちゃったよね!美夜が刑事だと知っているのに手を出す愁さん……ほんと天然女たらし!!
花火のキスページは愁さんの男の色気爆発させてみたんだけど色気……こう、雄っぽさが画面からムラムラ?むんむん?伝わってるかな……。
初期プロットではまだ【夏霞】ではキスさせる予定はなかったんだけど手が勝手にこの場面を書いておりました。(土下座)
次の物語は【episode4.
起承転結の結に向けて動き出す二つ目の転のエピソードは「は、ら、ん!」です。波乱ですよ~嵐が来るぞ~🌀
なんと次回は前作シリーズの【早河シリーズ】から、あるキャラが二人ゲスト登場します。
誰と誰かは次回の登場人物欄で🎇
次作【月影】はこちらからどうぞ🌙
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893398506
ーENDー
~Midnight Eden~ episode3.【夏霞】 結恵🌙(yue) @mozukuchan
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