他薦を少しばかり。
シレア国の首都シューザリーンの城下町はけして広くない。城からは十分に徒歩で行ける距離である。
商業的に最も栄えるのは時計台の下にある国営の市場。ただしこちらは開場時間が限られている。街の中に数カ所、宿屋街と隣接して繁華街(と言ってもやはり、そこまで派手なものではない)があり、そこに商店が集まっている。料理長が出品するという催しはその区域の者たちが中心になるはずだ。というのも、食材を扱う商店は勿論のこと、旅人に郷土料理の腕を振るう宿屋の者や、繁華街に料亭を構える板前が主な参加者であるからだ。
早々に大臣の許可を得て、王女達は日暮れ前に、とこの繁華街にやって来た。もうそろそろ西日が橙色に変わり、心なしか足元の影も長くなっている。
「しかし、随分な数の品が出されるのね。これ、国外も入っているのかしら?」
「ざっと見積もって8500点を超えたそうだ。段階を踏んでふるいに掛ける」
ある程度、聞き回ったところによれば、出品者の店への来訪者数とその回数、その品々に対して街の回覧などに寄せられた意見なども評価に影響するという話が聞かれた。そうだとすれば、城の中だけで包丁をふるっている料理長は明らかに不利である。人目に……いや、人の舌に行き届くようにせねばならないだろうが、本人は知っているのか。
「あら、この御転婆さん、またお城から遊びに来ちゃったのかい。さっき大急ぎで帰って行ったと思ったけど」
木の看板を手に料亭の店先に出て来た中年の夫人が、王女をみとめて半ば呆れ顔で言った。
「いいえ、遊びじゃないの。ほら」
王女はにっこり得意そうに後ろを示す。背後にカエルムがいるのを見て、夫人は看板を立てかけると、腕を組んで二人を眺める。
「姫様だけではなくて殿下まで来ているということは、何か
「いえ、重要なところはもう訪ねて来たところです。その後で、今度の品評会に出される品に興味があると、
「さっきちょっと見てみたいですね、って言っただけでしょう。しかも姫様もでしょう!」
腕によりをかけた逸品が揃うという。それらを見てみたい、と思うのは若い王女でなくても自然な感情だろう。夫人はからからと陽気に笑うと、先ほど立てた看板を指差した。手書きの文字が白墨で書いてある。
「ほら、うちの人がご推奨の料理だよ。今日のおすすめ。どれも食べやすいけれど味があるよ」
シューザリーン城下町の料理人は、国内問わず国外でもその味の評判は平均的に高い。軒並み揃って高水準の料理を出すため、なかなか全てを味わい尽くせないというのが旅人の間での噂である。
***
こんばんは。小説仕立てでカクヨムコンの今回のテーマを暗示するのに苦労しました(だからいつまでやるんだ)。
前回ののコメントで、PVや応援コメントなんかもランキングに反映されるというお話を伺いました。本当にいろいろなんですね(上の小説部分に組み込むの苦労しました)。でもそうですよね、レビューや星だけでは応援などの意味がなくなっちゃうし。謎深し。
コメントありがとうございました。
ではでは他薦です。今日はちょっと仕事の方、集中していたので、あまり読めていません。そんな中で、コンテスト期間もわずかなので、早めに他薦です。現在の時間も時間(夜中)なので、ご紹介が簡単で恐縮ですが私のレビューを貼ります。
猫にゃん様は語らない/水凪 らせん様
かわいい高校生のきゅんとするお話!
「ちょっと全国展開で心を鷲掴みにする気ですね」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893237533/reviews/1177354054893620811
宇宙の話をちょっとだけしたいと思う/一式鍵さま
こちらは宇宙を舞台にした一風変わったボーイ・ミーツ・ガール。宇宙空間を飛んでいる気分になります。
「言葉も構成も、センス抜群」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890554786/reviews/1177354054893578195
ミュゲ書房/オレンジ11様
もはや超有名だと思うのですが……。本作りに関わる主人公の挫折、挑戦、そして本を作り、それを人が手にとって読んでくれる喜び。徹底された調査に基づいた現代ドラマです。
「書き手読み手なら、様々な思いに胸が埋まる作品」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889794694/reviews/1177354054893218465
ついでに私のも宣伝させてください。
短編「魔法の隠し味はいつも君が」
こちらは12月中ばに公開したのでもうランキングは望めませんが、今週もレビューいただきました。ありがとうございます。
チョコレート作りとピアノ弾きと、外にアウトプットするということについて。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892910261
長編ファンタジー「天空の標」
この小説でわらわらやっている人たちの本編です。こちらと打って変わってシリアスです。真面目です。一応。政治とか自然の不思議とか策略とか。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054891239087
しかし現在妹編がね、今日PV+71ですごく嬉しいのですよ。完結まで47話ですから。応援の方もありがとうございます。ただ71のうち65以上が、大半が足跡がないのでどなたかわからないのです。きーになる〜。
そして今の悩みは、出張中に友達にもらったお守りのピンキーリングをどうすればいいのか。小さいオパールがついていて、水に濡らしてはいけないらしい。したがってお手洗いとか料理するとかでいちいち外すのですが、外した後につけるのを忘れることが多いのです。普段なら服とか鞄のポケットや、家でもわかるところに置くけれど、海外出張でなくしたら泣きますよ。
選択肢1 お守りだけれど思い切って持っていかない。
選択肢2 お守りとしては指につけるのが重要だけれど、チェーンに通してネックレスにする。
どっちかかな〜と思っています。どうしようかな。
今日、Twitterで間違えて、身バレ(というんでしたっけ)しそうなツイートしちゃいましてね。昼間だったからあまりみられていないといいんですけれど。わりかしすぐ消したもののあぶな〜いと焦りました。本気で(見ちゃった方! こっそり教えてください(苦笑))
やることが自分の中の整理つかずで混乱しているのかも。危ない危ない怖いです。
どうか普段やりとりしている方が見てませんように願うばかり。
それでは!
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