ぼくの天使とわたしの神様

あおみどろ

404号室にて

彼の寿命が、あと一週間しかないと聞いた。


わたしはいつもあなたを見守って来た。


色んな生き物に姿を変えてきた。


あなたの死に際に立ち会うのが怖くて、何度も何度も生まれ直していたら間に合わなくなってしまった。


どうせなら最後、天使になってあなたを迎えに行こうと思ったの。


自分勝手なのは重々承知だけど。


見捨ててしまったことも申し訳なく思っているけど。


あなたの好きな音楽に浸って考え事をしていた日々は、これ以上ないくらいに不幸せだったけど。


あなたを想うだけしか出来ないろくでなし。


それでも、どうしても、あなたを看取らせて欲しくて。


でも大丈夫。


あなたのことは責任をもって天国へ送るから。


だけど。


もっと長生き出来るようにしてあげられたら、どんなにいい事か。


わたしの寿命をあげることが出来たなら。


後悔ばかりしてごめんね。


私のことを知ってたらきっと、恨むはずなのにね。


わたしには憐れむ資格すらないのにね。


だけど、謝りたいの。


あなたに直接会って懺悔出来たらいいな。


そう思ってたの。


あなたがこっちに来た時、謝らせてくれたら嬉しいな。


救うことが出来なくてごめんね。


わたしの命を分けられなくてごめんね。


ぐずぐずして助けに行かなくてごめんね。


死ぬ時は薄れる意識に、感覚に驚くかもしれないね。


寂しくなるよね。ごめんね。


泣いちゃうかもしれないね。ごめんね。


この声を直接届けることが出来なくて、ごめんね。


あなたを迎えに行くのがわたしだってこともきっと、気に入らないよね。


ごめんね。


あなたの目の前で、見えてる訳でもないのにひたすら謝ってた。


天国に行った時は、わたしが迎えにいく時は、どうかわたしに謝らせて。


その時は、何か一言くれたら嬉しいな。


目の前のあなたが、わたしの方を向いて笑った。


嗚呼、灰になってからもずっと、あなたのそばに居させてね。


大好きよ。

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ぼくの天使とわたしの神様 あおみどろ @aomidoro

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