舞台は琉球。神の力が未だ息づく島と、その島で兄妹神として生きる、少女と、その新たな兄となった少年の物語……
物語のところどころに出てくる名詞は、琉球読みもありますが、あおさんさすがです…!全く困らず読めます。
琉球の青い空と海の下。
一部の舞台は、今より昔。
少しづつ、確かに成長していく少女と、秘密を抱える少年の、旅の物語。不器用な優しさや、細やかな描写、明らかになっていく童達の過去に、自分までもが、彼らと共に旅をしている様に、切なくなり、嬉しくなり、泣きたくなります。
二部は、一部よりも後。
成長したからこその、感情の変化や人間関係。揺れ動く気持ちともどかしい関係。そして、それの元となっている二人の“使命”や“思い”が、思わず一気に読んでしまうほど、読み手を引き込みます。
首飾りの描写は、見ていないのに息を呑むほど綺麗だったです!
きっと最後には、誰だって心が温まると思います。
切なくて、優しくて、不器用で、時折残酷なようで…そして何よりも美しい。
そんな世界の旅を楽しませていただきました。ありがとうございました。
神秘的な琉球王国を舞台に妹ククルと、新しく「兄」となった少年のお話が優しく、そしてせつなく紡がれていきます。
新しい「兄」であるユルへの戸惑いや葛藤と向き合いながら、ククルはそれでも時折感じるユルの優しさに心を許していく。けれどもユルはククルを利用しているとはっきり告げていて、二人の距離はなかなか縮まらない。
二人を取り巻く人物との関係性や、この世界においての神女や巫女の役割、人の世に干渉する神々など、ちりばめられた謎や伏線が気になって続きを読む手が止まらない!! 気が付くと深夜近くになることもしばしばでした。
第一部の八重島編で世界観を理解しどっぷりとハマって、本島編で一気に伏線回収というカタルシスが何とも言えず、読みながら「ほぅ……ほぅ……」とよく分からない感嘆の溜息をついてました。(勿論心の中でですよ!)
そして本島編での見所がもうひとつ。それはククルの成長です!
兄を失って泣いてばかりいたククルが、もう「兄」を失うまいと強く立ち向かう姿に心打たれました。その辺りも楽しみながら読んでみてはいかがでしょうか?
第一部のラストも衝撃でしたが、私はこの終わり方も美しくて好きです。
このまま完結と言ってもいいくらい、話自体は綺麗に纏まっていますが、どうやら第二部もあるみたいですよ♪
第一部とは変わってしまったククルとユル。
二人が新しい世界でどのように話を紡いでいくのか……またあの神秘的な世界を堪能できるのかと思うと今から続きが楽しみです!
後は個人的にですが。
地の文がそこまで多くないのに情景が分かるって凄い!
そしてとても読みやすい文章で、きっとあっという間に第一部を読了することと思います(*^-^*)
何とも美しい、真っ直ぐな主人公の眼差しが見えるような物語でした。
設定が琉球王国である事がこの物語の核になっています。
琉球王国の神秘性を存分に感じる事ができます。
沖縄や奄美諸島では神は海からやって来ると言います。その神が住む場所がニライカナイです。
ニライカナイが人の世界から遠くなった地近くなったりする事で人の世界に影響を与える。そこには深い話がありました。
主人公達はどうしようもない運命を背負っています。
それを彼らは如何するのか、答えが出そうで出ないものをちゃんと納得できる形で終えるこの巧みさ。
唸ってしまいました。
上手いのです。
物語の進め方も、気持ちの入れ方も、その設定も……。
読み終えて少し放心しています。
第二部も読まなければいけないと強く思っています。