この主人公、ただ者ではない。

「何でも解決するマン」。
そのネーミングを見たとき、正直「ダサい」と思いました。
冒頭を読んでも、「なんだか残念な主人公だなあ」という印象です。

しかし、軽やかな文章に誘われるように読み進めていくと、彼がただ者ではないということがわかってゆきます。
彼が事件を解決する様子は、「鮮やか」というよりも「瞬殺」に近い。
そして、それは「何でも解決するマンという人物」そのものにまつわる大きな謎と言ってもいいでしょう。

この作品はラブコメですが、そこらへんに転がっている「可愛い女の子が無条件で主人公を好きになってくれる」みたいな安っぽい話じゃありません。
ヒロインの好意にはきちんとした理由があるのです。そこがいい。
空園女史の悩みが解決した瞬間、あまりにも尊過ぎて涙腺が緩みました。
そして、最後のオチまできっちり笑わせてくれる、とても優秀な作品です。

全体的にテンポが良く、とても読みやすかったです。
主人公がヒロインといちゃつきつつ、くすっと笑わせてくれる要素もあり、その中で事件が起こり、きちんと解決する。
これだけの要素が、とてもコンパクトにまとまっています。

主人公があまりにもあっさり事件を解決してしまいますが、そこにもきちんと理由があります。
彼にはぜひ、もっと大きな謎に挑戦してみて欲しいですね。

シリーズの続編があるようなので、そちらを読むのも楽しみです。

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