転移後も安心! 異世界でスーパーを営業するノウハウが詰まったお仕事小説

まさかこんなに泣くとは思いませんでした。
読了後に全ての語彙力が消失したので落ち着いてからレビュー書こうと思ったのに、初っ端からこんなこと書いちゃってるよ。

完全閉店間際のスーパーが、店長と従業員1名と共に店舗ごと異世界転移してしまうお話です。
元の世界に戻れる日まで、2人はその場所でモンスターを相手にスーパーの営業を続けることを決意するのですが……

懐の深い沢渡店長、新人ながら機転のきく高橋くん、そしてお店の従業員として雇われたモンスターたち。
誰も彼もが親しみやすく、個性豊かで大変魅力的です。気付けば登場人物全員を大好きになっていました。

何と言っても、スーパーを営業するためのノウハウがすごい。
生鮮食料品に日用品、お惣菜に焼き立てパン。一つの店舗にさまざまな品物が揃っているのがスーパーです。
食品の鮮度管理やレジでの会計システム、仕入れと売り上げ、従業員教育などなど——
異世界転移ものではありますが、これらのことが非常に分かりやすく、そしてドラマチックにストーリーに組み込まれており、しっかりと読み応えのあるお仕事小説だと感じました。

スーパーでの買い物の便利さ、楽しさ。
それぞれが役割を持って、一つの大きなものを形作る素晴らしさ。
働くことが、誰かの笑顔につながるということ。
当たり前すぎて忘れていたことを思い出しました。

きっと今日も『にこにこマート』にはたくさんの笑顔が溢れているんだろうなと、想像しただけでまた涙が滲みます。
本当に大好きな作品です。ものすごく面白かったです!

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