2.鬱陶しい食前
食堂に連れてかれた。
ドーヴァに椅子に座らされる。
決まってコイツの隣。
うっとおしいことこの上ない。
まあ、食べているときは静かなんだけど。
でもこの時に違うやつが絡んでくる。
「ハルちゃ~ん、おはよぉ」
猫耳のついた男。
名前はペルル
整った顔。
華奢な体。
見た感じ女に見えそう。
というかクネクネして、
イライラする。
「まぁた、イライラしてるぅ。
そんなに僕のこと嫌い?」
嫌いです。
というか、近い。
すごく邪魔。
正直この手の男が一番嫌い。
何で無駄に絡んでくるのかが
よくわからない。
「おいおい、俺のハルにちょっかい出すなよ」
「え~、そんなの関係ないでしょお?
そもそもハルちゃんをモノみたいに
扱って、サイテー」
「んだと、コラァ!!このエロ猫!!」
「なーに?このニートヴァンパイア。
こんなことで、キレるなんてウケる―」
うるさい。
すごくうるさい。
朝から行きたくない食堂に来て、
両サイドから罵倒を聞いて、
何の罰ゲームなんだ?
『エロ猫』も『ニートヴァンパイア』
合ってるけどな、
ペルルは部屋に様々な女性を連れ込んでは
性行為ばっかりしてる。
ドーヴァは実家が貴族様らしい。
それでダラダラと生活してる。
…うん。
今、関係ないなあ。
今、思い出しても関係ないなあ。
今、めんどくさいの変わんないなあ。
「二人ともお願いがあるんだけど」
「なーに?ハルちゃん」
「しょうがねーな、聞いてやるよ」
「消えてくれ」
もう限界。
何が良くて朝から
騒音ヴァンパイアと淫乱猫の
何も徳のない口論を
聞き続けなければならんのだ。
「そんなぁ、ハルちゃん
ぼくとあそんでよぉ」
「断る」
「そうだぞ、オマエ。
ハルは俺様とメシを食うんだ」
「灰になれ」
こいつらまったく引かない…。
脳みそにカビでも生えているのか。
これがほぼ毎日だよ。
日課ですか?
趣味ですか?
仕事ですか?
良く飽きないな。
畜生。
でも、そろそろ終わるはず。
時間だ。
食堂の柱時計が時間を知らせる。
朝7時。
ここの住人たちが起きだす。
ハルの異世界シェアハウス 木染 こころ @cosomesan
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