どよめきハイスクール

@kamakurakun

第1話甘いスイーツ

『ねぇ、兄さん起きて♪』

暗闇の遠くから柔らかい声が聞こえる。

『ねぇっ、夏樹ちゃん下で待ってるよ?』

。。。な、夏樹!??その名前を聞いて慌てて飛び起きる。それもそのはず身に覚えもないのに、下で夏樹が待ってる状況が理解できなかった。

『おはよぉ♪朝ごはんサンドイッチだから、夏樹ちゃん待たせてるみたいだし包んであげるね♪』

優しく微笑みを浮かべてパタパタと足音をたてて台所に向かう妹。名前は(波木 雫)

小柄な体型でセーラー服の上に白いパーカーを着ている。俺の妹は学校でもかなりの人気者で兄でもたまにドキッとしてしまうほどの美少女である。

『雫ありがとう♪今日もほんとに可愛いよ?』

『兄さん毎日聞いてる♪』

『毎日言わせてほしい』

つまり重度のシスコンである。

手早く支度を済ませ。包んで貰った妹のサンドイッチを手に慌てて家の玄関を飛びだす


『こらぁ!ゆきと!!遅い!!』

不機嫌そう出迎えた相手は小学校からの幼馴染みで(一ノ瀬 夏樹)

スラッとした体型に金髪のショートカット

制服に包まれた彼女は見た目通りのボーイッシュな性格の女の子だ

『いやいや、夏樹の方こそ今日約束なんかしてないだろ?』

『今日は高校一年の登校日だから!私も心細いじゃん?一緒にいこうよ♪』

どこがだ!と言いたくなるが、ここは女の子である手前、意外と繊細な心もあるのかもしれないとあえて口にはしなかった。

清々しい朝の光を浴びながら始めて通う学校に不安と期待で複雑な気持ちになりならがら歩いている

俺もついに高校生かぁ、、。やっぱり中学生と高校生は響きがちがう、。絶対彼女をゲットして甘い高校生生活を送るんだ!と下心で胸をいっぱいにしていた。

『何朝からニヤニヤしてんのよ。』

目を薄くして疑いの眼差しで話しかける夏樹

『そっ!そんなニヤニヤしてねぇだろ』

『私にはわかるんだよねぇ~、、どーせあんた高校で彼女作って甘い生活送ってやる~~!とか思ってるんでしょ?』

、ギクッッ、

流石に夏樹は幼馴染みなだけあって、的確に心の内を当ててくる。。

『あははは。ほぉらね♪そんなムンムンで下心しかないあんたに誰も寄り付かないわよ!笑』

幸人の頬をツンッとつついて彼女は校門の中へと走り去っていく。

ニヤニヤ顔の幸人が苦い笑みを浮かべて新しいスクールライフが始まった。

教室にはぞろぞろと人が各席に座り少しばかり緊張感漂う中それぞれひそひそ話が多い

ここは去年まで女子校だったためか、教室の8割が女子なのだ。

どことなく女の子のいい香りが漂う。。

今まで恋愛経験0の幸人にはこれだけでも刺激が少し強かった。。

はぁぁ、、、緊張するなぁ、、、、。

女子達のたまり場の中でこれから学生生活をするのかと考えると期待から一気に不安で頭がいっぱいになっていた。。

頭を抱えて机に項垂れていると左の席から女性の声が聞こえてきた

『あの、、、。大丈夫ですか?。』

ハッと振り向くとそこには薄いピンクの髪色に紺色の花柄の髪止め着けた女の子が心配そうにこちらの様子を伺ってる。。

『あ!いや、なんだか落ち着かない空間で色々考えてると先行きが不安でっ』

『。。なんだかわかる気がする。。わたしも最初不安だったけど何人かお友達居るからまだましかな♪』

そのあとどう返していいのか、言葉が思い浮かばない幸人。口下手ではないのだが緊張のせいか、なかなかスラリと言葉が出てこない。

『わたしは早乙女圭。よろしくね?』

『俺は波木幸人!呼び方は適当でいいよっ俺はあんまり気にしねぇし』

『。。。ぷっ。クククッ。。』

突然抑え笑いする様子に幸人は

『え。!?俺の名前そんなに変な名前??』

『いえっ、そうじゃないの!ただ幸人君の顔見ちゃった時に、、ほっぺたに付いてるハートのシールが可愛いくって!。。クククッ』

その時何故そうなって犯人が誰なのか直ぐに理解できた。

『夏樹ぃぃぃっ』

朝のほっぺたのツンは最初から狙ってたなぁ。。。怒りと恥ずかしいので顔が沸騰する

『波木くんって結構キュートなんだねっ』

少し上目遣いで覗き込んでくる女の子に幸人はドキドキしていた。


無意識のうちに気付いた事なのだが

隣の早乙女圭ちゃんは薄いピンクがかなり好きなんだと思った。

ケースもピンク筆箱もピンク下敷きもピンク。シャーペンの柄の部分もピンクどれも薄いピンクに覆われていて彼女の白い肌ととてもマッチしていた。長袖の制服から指だけがはみ出てスラスラと書くところが本当にか弱い女の子を演じている、。、


『波木君!!!』

女教師の大きい声に飛び上がる

『はいっっっ!!!』

『隣の女の子ばっかりチラチラ見ないの!ちゃんと授業に集中しなさい!!』


アハハハハと教室中が笑い声に包まれる

『はぃぃ。』

本日二度目の赤面だ。。先生の(隣の女の子をチラチラ見ないの!)とわざと大きい声で言われたことにより一層穴があれば隠れたいほど恥ずかしい部分を指摘されてしまった。この時から隣の女の子の様子を見ることが怖くて出来ないまま授業は無事終了した。

放課後靴を履き替えてる幸人の後ろから声をかけてくる女の子がいた。

『あの、、、波木くん!』

そこには妹と同じぐらいの背丈の早乙女圭が立っていた。

午前中のチラ見事件で近づくのが恥ずかしかったので声を掛けられたことに、少し動揺してしまう

『あ、早乙女さん、ど、どうしたの?』

『良かったらだけど、、一緒にかえらない?』

思いもよらない誘いだった。

ただでさえ女子という生き物に免疫がない幸人にとってこれは人生の中で大きな革命的な出来事である

朝の心の公約通りに順調よく女子という生き物と並んで歩いてる様はまさに幸人にとってデートそのものだった

そんな二人連れのカップルは、とあるアイスクリーム屋さんの中で対面式のテーブルの椅子に腰掛けている

『ここ最近出来たんだよね。』

『うん、俺もずっと気にはなってたんだけどなかなか一人でとか行きにくいからいけなかったんだ』

ストロベリーアイスをプラスチックのスプーンで美味しそうに食べる早乙女圭は潮らしくそれだけでも幸人の心をときめかせる

『あの、、食べる?、スッゴク美味しいよ?』

『あぁ、うんっ』

見とれてしまってたのを彼女はこのアイスクリームが気になってると思ったらしい

『はい、あーん』

『あーん』

『美味しい?』

『と、とても美味です。。』

幸人はアイスクリームの味などもはやどうでも良かった。ただ彼女がなにげに差し出す自分のスプーンを幸人の口に運んだ間接キス事態に甘いスイーツだ。

『ふふっ』

クスッと笑って美味しそうに食べる彼女はまるで小さな天使だ

『なんだか楽しそうだね~。』

少し不機嫌そうに自分の後ろから聞き覚えのある声が聞こえた

ドキッと後を振り替えるとそこには

金髪のショートヘアーの一ノ瀬夏樹がこちらを怪しい目付きで眺めていた

『え!?いつからいたの!?』

『ずっと居たよ。あんたは浮かれて気付いて無かったみたいだけどね』

どことなくトゲのある言い回しでさらに続ける

『あんたの彼女?まさかねぇ』

『はじめましてっ、早乙女圭って言います、今日は波木君に付き合ってもらってここに来ました』

丁寧に自己紹介する早乙女圭

『早乙女さん♪幸人はやめといた方がいいよー?頭の中下心しか無いから♪』

ニコッと笑って幸人のイメージを下げる

『そうですか?私はシャイな波木君って感じで可愛いと思います』

(早乙女さん天使だ。、。)

『シャイね~♪へ~~♪』

ニヤリと笑って細い目付きで幸人を見る

『ご馳走様♪私はお腹いっぱいだし甘いもの食べて甘いもの見させられたからもう帰るわ♪』

どことなくトゲのある言い方で夏樹は去っていった。

(この仕打ちはなんだ。。)幸人の心に余韻が残る。 

『波木君、あの人だれ?』

『あぁ幼なじみの一ノ瀬夏樹って言うんだ♪家も近くで昔はよく遊んでた』

『そうなんだぁ~、、じゃあライバルね。』

ボソっと圭が呟く

『え!?』

『いやっ何でもない!ねぇ、そろそろ帰りましょ?』

彼女の、一人言に違和感を感じたが自分に自信が持てない幸人は気にしない事にした。

甘い後に少し苦い思いをした幸人であったが、今日の出来事に少しホカホカしながら食卓テーブルに妹の雫と向かい合って夜ご飯を食べてる

『お兄さん今日はどうだった?なんか少し嬉しそうだよ?』

『そう?まぁ新しい環境に馴染めそうだなって』

『へ~♪良かったじゃん♪』

重度のシスコンである幸人はあえて今日の出来事には触れなかった。

その時携帯電話からメッセージが来た

夏樹『今日は甘い甘いスイーツご馳走さま。

女の子とデートして鼻の下を伸ばしてたお兄さん♪妹さんにバレたくなかったら明日は私ににもご馳走してね♪』


夏樹はこの通り自分の心の中を何でも見通してくる。。

『奢らさせてもらいます』と送り返して幸人の1日は無事終了したのである。

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