第五話・いただく

炊きあがって蒸らし終えたら蓋を取り、しゃもじでかき混ぜ……てはいけない。

まずは鍋の中央、一番上の方の飯を少しだけ、そう、茶懐石料理の一文字飯くらいの量を茶碗によそい、飯だけを食べる。

この部分の飯が一番うまいのだ。


そして、この至高の一口を食べ終えたら、しゃもじで切るようにして、ふんわりとなるように鍋の飯をかき混ぜる。

今夜食べる分を茶碗によそい、残った飯は熱いうちに密封容器に入れて、充分に冷めてから冷凍しておく。

冷めてからではなく、熱いうちに密封容器に移すことが肝心だ。


あとは好きなおかずとともにいただくだけだ。


俺はハードボイルド自炊マスター。


働かざる者食うべからず、いな、食わざるもの働くべからずだ。

先人は言った「腹が減ってはいくさはできぬ」と。


次のディナーもハードボイルドだ。


Part1 ~白飯~ The end



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る