第四話・炊く

俺はハードボイルド自炊マスター。


働かざる者食うべからず、いな、食わざるもの働くべからずだ。

先人は言った「腹が減ってはいくさはできぬ」と。


正確に水加減をして、充分に水を含浸がんしんできた米が入った鍋を火にかけたら、まずは中火だ。

「始めちょろちょろ中ぱっぱ」などというが、気にするな。

あれはまきで炊いていた頃の話だ。

薪で炊くなら必然的に、そういう火加減にならざるを得ない。

薪を釜戸にくべて、いきなり強火にはならない。

始めは火の勢いが弱く、あとになるほど火の勢いが強く「始めちょろちょろ中ぱっぱ」にならざるを得ないというだけの話だ。


なぜ強火じゃないのかって?

おいおい、お嬢さん方。

強火にしたら鍋から火がはみ出してしまうだろ?

よほど大きな鍋じゃなければ中火が正解だ。


中火で炊き始めて、泡があふれそうになったら、弱火にする。

そして泡がはじけるような音がしなくなったら炊きあがりだ。


炊きあがったら、火を消してふたを取らずに10分ほど蒸らす。

ここは「赤子泣いても蓋取るな」という先人の言葉に従おう。


蒸らし終えたら最後のプロセスだ。


to be continued

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