TIPS.6――あるいは色々台無しな用語集

「黒木清十郎」

 主人公。アラフォーの割に発言が若い――けれども語彙はやっぱりおっさんなせーちゃん。

 本編で描かれた通り、お人よしの恰好つけであり、女性に騙されやすい。女難の相あり。ただし、マルチ商法の類には引っかからない。

 作中でも描かれた通り、女性との交際歴はある。深い仲になったこともあるが、何分長続きしない。その理由はもちろん、行方不明になった従妹への想いにあった。そういう意味では不実な男。

 職歴は営業から始まり、SEやコールセンターの経験もあるなど、多種多彩。そういうとこやぞ。

 なお、本編が清十郎の主観で進む都合上、一切描かれなかったが……見た目は実年齢より少し若く「ちょっと頼りない母性をくすぐる系になった竹●内豊」という感じ。

 ――ただし、イケメンに限る。等と言ってはいけない。



「黒木美遊」

 ヒロイン。

 基本的に繊細で善良なので罪悪感で壊れる一歩手前にありつつも、自分のその状況を利用する強かさをも持つタイプのヤンデレ。

 狡猾さと無垢な純粋さが同居する、悪魔のような天使。あるいは天使のような悪魔。狙ってやっている部分もあれば、全くの無意識の言動であることも多い。

 嫉妬深いけれども、恋敵を呪殺しちゃうタイプではない。いや本当に。自分が一番であれば良いらしい。

 清十郎以外見えていないので、他の人から向けられる好意には超絶鈍感である。

 「完全記憶能力」に近い記憶力は、極度の集中力で後天的に得たもの。才能ではなく技術である。決して写真のように記憶を残せる訳ではない。



「呪術」

 美遊の得意技。魔力源は、人間の負の感情。術者本人のでも、呪いをかけられる方のでも可。

 後半は炸裂することは無かった――と思っている皆様。果たして本当にそうですかな?

 なお、本編終了後にはユーキが窓口になって、主にストーカー被害に遭っている女性を美遊の呪術で救っているとかいないとか。――結構いいお小遣い稼ぎになっているとかいないとか。

 また、美遊本人を傷付けようとする者に対しては、無意識に呪術で反撃してしまう。美遊本人にも止めようがないので、完全な自衛手段であると同時に最大の悩みの種でもある。



「浅川祐希」

 毎度おなじみユーキさん。中々複雑なセクシュアリティをお持ちな才女かつイケメン。

 基本的には善人だけれども、清十郎をいじるのが生き甲斐。「親友」である彼を千尋の谷へ突き落しておいて、自ら助けるという高度なプレイもお手の物。

 なお、清十郎への友情は本物だが、どちらかと言えば美遊の味方である。作中の彼女の言動は、「美遊本人でさえ自覚していない願望」を叶えてあげる為のものが多いのだとか。ある意味黒幕。悪いやっちゃ。

 しかし、こんなユーキをして結婚を決意させた小太郎さん、実は最強なのでは?



「鈴木さん」

 TIPSには二回目の登場となる鈴木さん。

 初登場時は神奈川県警にいた鈴木さんも、物語の後半では本来の所属に戻っている模様。

 本編とは直接関係ない設定だが、幼い頃に双子の姉が連続誘拐殺人犯に殺害されている。警察関係の道へ進んだのは、それが動機なのだとか。

 なお、彼は地方公務員ではなく、国家公務員。本来なら現場仕事などしない立場なのだが……つまりはそういうことです。



「赤城リサ」

 金髪碧眼の低身長ロリ巨乳天才少女(しかもあと少しで合法)という、ちょっとこの作品に登場させるのやめようかと悩んだくらいの属性の権化。

 本編では描かなかったが、美遊と出会った時はリサの方が年上だったのに、生まれたのはリサの方が後という、時空のねじれが生じている。

 拉致被害に遭う前は重度のファザコンだった模様。そのせいもあって、父親が新しい妻子と暮らしていることに耐えられなかった。

 なお、当初から清十郎を敵視していた割に全裸を見られたことをあまり引きずっていないのは、清十郎が彼女の父親とよく似ているから。「なんか罵声を浴びせたくなるけど、本格的には憎めない」のだとかなんとか。当然、異性としては眼中にない。

 電気や熱を操る魔法を得意とするが、それらは「時間魔法」の副産物らしい。詳細は不明。



「白き魔女=白木泉」

 本編登場の時点で数百歳。他の魔女連盟の魔女達と異なり、「人間の正の感情」を魔力源としている。

 「不老魔法」は地球へ転移した時点で効力を失っており、ゆっくりとではあるが老化が始まっている。

 とはいえ肉体年齢はまだ若く、清十郎と美遊の仲睦まじい様子を見て「私も結婚しようかしら……」等と考えているとかいないとか。

 ほぼ全ての魔法に精通するが、負の感情を魔力源とする呪術だけは扱えない。その代わりに、呪術への対抗策を持つ稀有な存在。



「帰還者」

 異世界から生還した少女達の総称。「未帰還者」も含めた総称は「特定時空漂流者」。

 少女達は先進各国から拉致されており、国籍は多彩。

 武器を扱う少女はともかく、「魔法」なる未知の力を操る少女については、一部の国家では実験対象として見られている向きがある。

 日本でも帰還者の少女達は政府の監視対象になっており、そこかしこで黒服達が目撃されるのだとかなんとか。

 彼女達に関する情報は秘匿され、一般には公表されていない。

 しかし人の口に戸は立てられぬもの。「昔のままの姿で出歩く行方不明だったはずの少女」が目撃されれば、大騒ぎになりそうなものだが……何故か、そうはなっていない。



「お祖母ちゃん」

 黒木家の祖母。お名前は百枝ももえ

 若き日は物理学に邁進する学者の卵だったが、お祖父ちゃんと熱烈な恋に落ちあっさり引退。

 余裕で百まで生きそうなので、ひ孫の顔は見られると思います。良かったね。



「課長さん」

 実は美遊に呪術をかけられたままである。

 作中の四月に異動となりユーキとの接点が減ったが、未だに何もない所で転んでいる姿などが頻繁に目撃されているらしい。

 ユーキを目の敵にし始めたきっかけは、セクハラをいとも簡単にスルーされたからだとかなんとか。救いようのない人というのは、どこにでもいるものである。



「魔女連盟」

 異世界で「黒き魔女」と呼ばれる始祖が作り上げた一大組織。

 「不老魔法」を完成させ、その世界の男性達を「不要物」として処理してしまった。

 何百年もの栄華を誇ったが、ある時を境に現れ始めた謎の生物群「異邦人エイリアン」の襲撃を受け、急激にその勢力は縮小。

 ジリ貧となった魔女達は、異世界から「才能ある、家族に愛されている幸せな女童」を強引に召喚し、戦力の補強を図った。

 少女たちの苦しみを魔力源とし、更には地球に残された家族の嘆きさえも時空を超えて吸い上げていた。

 日本だけでなく先進各国で拉致被害が起きており、正確な被害者の人数は誰も把握出来ていない。

 最後は「異邦人」の群れに拠点ごと蹂躙され、完膚なきまでに滅んだ。

 白き魔女のように地球へ逃れていれば助かったかもしれないが、永遠の若さに驕っていた彼女たちは、最期まで自分たちの滅亡を受け入れられなかったらしい。

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日向の窓で、君と 澤田慎梧 @sumigoro

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