あとがき

 この物語を思いついた時、「長編なんて無謀だ、私には書けない」と思ったのを覚えています。書き始めてからも、毎回「今度こそ無理だ」と思っていました。もうダメだと、何回胸の内で呟いたことか。

 にも関わらず、ゴールにたどりつけたのは、あなたのおかげです。あなたが読んで下さったから、書き上げることができました。本当に、今までありがとうございましたm(_ _)m


 突然ですがこの場を借りて、直接お礼を伝えたい方がいます。読み専様とお見受けしますが、読み専様は近況を立ち上げておられない方が多く、私はいつも「一言お礼を伝えたいのに、その術が無い……!」と立ち尽くすことが多くて……。

 まさぽんた様。この片隅の物語を見つけて頂き、途切れがちな更新にお付き合い頂き、感謝しています。読んで頂けたこと、励みになりました(*´▽`*)✨

( 勝手にすみません💦 気持ちだけ、受け取って頂けたらと思います(*^^*) )



 この物語を書こうと思った理由は、2つあります。

 一つは、私も人生の半ばと言われる時期にさしかかり、自分の歩んできた道を振り返ってみようと思ったこと。

 実はこの物語は、私が中学生だった時に綴った物語が元になっています。あの頃の私が感じていたこと。「普通」になりたくて、なれなくて。今もひっかかっている記憶や、伝えられなかった言葉。大人になって知ったこと、今になって思うこと。そんなものを、書き留めてみようと思った。

 自己満足といえば、そうかもしれません。でも、もしかしたらそれが、同じような想いを抱えて生きる誰かの、ヒントになることもあるかもしれない。おこがましいかもしれませんがそんな思いもあり、本編に書ききれない解説まで、別エッセイを立ち上げて書いてしまったのでした。


 そして、もう一つの理由。

 この物語は、当時五歳だった息子が、サンタさんに顕微鏡をお願いしたことがきっかけで生まれました。

 息子が何故、玩具ではなく顕微鏡を望んだのかは謎です。息子は昔から一風変わっていて、分厚い乗り物の図鑑を読み込んだり、自動車学校の教本を引っ張り出して道路標識を覚えたりしていました。

 初めて顕微鏡を覗き、目に見えない不思議な世界に触れた瞬間を思い出した時。私の中に、理科室で顕微鏡を覗く少年の姿が浮かび上がってきたのでした。

 あの頃、十代なんてまだ先だと思っていた息子は、今年十歳になりました。戦国武将の図鑑を読み込み、日本史の年表を暗記し、相変わらず独自路線を突き進む息子。人とは違う世界を生きる人なのかなぁと、思ったりもします。

 息子は昔、発達がゆっくりで、発達の順番も周りとは違っていて、一時期は療育にも通いました。彼の行く末を、私はずいぶん心配したものです。けれど、好奇心いっぱいに生きる彼は、私の心配をよそに自分の世界を切り開いていきました。足元に咲く野の花の名前、虫達の不思議な生態。メカニックでワクワクさせる工事車両、知られざる戦国武将の逸話の数々。彼のおかげで、私も一緒に、未知の世界に出会う喜びを知ることができました。きっと、人とは違っていることも含めて、全ては神様からのプレゼントなのだと思います。

 この先も、いろんなことがあるかもしれません。でも、私はこれからも、彼の世界を知りたい。周りと同じじゃなくていい、あなたのままで生きていいんだと伝えたい。

 拙いんですが、この物語には、そんなエールを込めたかった。

 最後の泉の願いは、そのまま私の願いでもあります。

 今、画面の向こうにいらっしゃる、あなた。

 どうか、そのままのあなたを大切にされて下さい。

 この物語を通して、あなたに出会えたことに感謝を込めて。


 令和6年1月31日 プラナリア


 

 

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顕微鏡 プラナリア @planaria

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