#7
「………はっ!」
リビングで目を覚ます。
薄い毛布に包まってるうちに眠ってしまったらしい。
窓から差し込むオレンジ色の光が私を照らしている。
どうやら雨は止んだようだ。
私は毛布に包まったまま玄関のドアを開ける。
すると、そこには雨の水と日の光を受け光り輝く枯れた草がどこまでも続いていた。
それはゾンビが蔓延る世界とは思えないほど、幻想的な眺めだった。
「チュンチュン」
空に黒い点が走る。
私は反射的に空を見上げた。
空には雀のような鳥が空を飛んでいた。
この世界でゾンビ以外の生命体を始めてみた。
…ゾンビを生命体と言えるかは分からないが。
とにかく、この世界には雀のような動物がいることが分かった。
雀がいる以上、別の生き物もいるだろう。
「うーん。魚とかいたらいーなー。」
魚なら焼くだけでも食料になる。
ここの近くに川があるだろうか?
この周辺についてはまだ分からないことが多い。
「探検しないと駄目かな?」
今度、森の方に行くついでに周辺についても調べておこう。
「あ、そうだ」
クラフトに書いてあった炎.熱について思い出す。
まだそれを試していない。
炎を簡単に使えるようになれば、もし魚を見つけたときに料理が楽になる。
外で試してみることにした。
黒結晶を地面に置く。
そしていつものように炎を願う。
すると、黒結晶が赤くなっていき、勢い良く炎を上げ始めた。
「うわ!」
あまりにも勢いが良かったから少し驚いてしまった。
炎はだんだんと落ち着いていき、10〜15cmぐらいの火柱で安定した。
数個同時に炎を起こせば暖炉とかにも使えそうだ。
火を起こせることに満足し、シェルターに戻る。
服が乾いていたので着る。
流石に他の服がほしいが残念ながらクラフトには乗っていなかった。
さて、探検をする準備をしよう。
まあ準備と言っても黒結晶を準備するだけだが。
あのアイテムボックスになっている木箱は動かせなかった。
どこでもアイテムボックスが使えたら楽になるがそれは出来なかった。
残念。
ポケットはあるが少ししか入らないので、余り遠くには行けない。
遠出はまだまだ先になりそうだ。が、今回は近辺の探索だ。
問題はないだろう。
今日はもう夕方なので探検は明日にしよう。
ここら辺は星の光しか照らすものがないから夜は真っ暗だ。
ライトが付いているシェルターだけに光が灯っている。
クラフトに光とか言うのが乗っていたがそれだけの光を頼りにするのは無理だろう。
お腹が減ったので果物を出すことにした。
いつもどうりに果物願う。
「あれ?」
出てきたのは長く黄色い物体だった。
「バナナ?」
そう、出来たのはバナナだった。
食べてみる。
バナナはとても甘く、完熟していた。
りんごのときのように今まで食べた中で一番美味しかった。
「どういうことだろ?」
なんでいきなりバナナができたのだろうか?
それを考えているうちに1つの仮説ができた。
1回目に作ったときはたまたまリンゴができ、2回目以降は果物を作るときも少なからずりんごを意識していたからリンゴが出来たのでは、と。
試しに別の果物も作ってみる。
「桃!」
「柿!」
「梨!」
全部思った通りに出てきて楽しくなってしまった。
…これって丸かじりできるものなのだろうか?
まあいい。皮と果実の間に栄養がたくさんあるって言うし食べれるのだろう。
私は果物の中で一番梨が好きだ。
シャリシャリと食べる度に、梨の涼しい香りが口いっぱいに広がる。
やっぱり、今まで食べた中で一番おいしい梨だ。
流石にもうお腹は一杯だった。
食べなかった柿と桃は取りあえずアイテムボックスに入れておいた。
…多分臭ると思うが。
今度からは計画的にクラフトしよう。
さて、今日はもう寝るだけだ。
明日に備えなければ。
何が起こっても良いように。
…の前に少し、外に出た。
この荒廃した世界に転生した件について 竹 @take_0726
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