7話

「やっぱりこの世には神も仏もいないのか……」


俺は絶望感でいっぱいになり、机で突っ伏していた。正直、最悪この時の俺は「コングダム」と共に心中する事まで考えていた。


「おい。陽介。どうしたんだよ?」


そんな俺に、更なる救いの声が上がってきた。

それは、我がクラスの二大イケメンの1人、俺とは中学からの付き合いで、運動は苦手だが、勉学に関しては学年1位の成績を常に取り続けている。インテリ系イケメン、木崎 真夜きさき しんやである。

どうやら、俺があまりにも絶望で倒れ伏している様子を見て心配で声をかけてくれたのだろう。そんな真夜に俺は……


「うわあぁぁぁ〜ーーーーーーーーん!!?真夜ぁ〜ーーーーーーーー!!?助けてくれぇ〜ーーーーーーーー!!?」


隊長や晴人と同じように泣きじゃくりながら抱きついた。うん。我ながら飽きられるぐらいワンパターンだが、今の俺はそれぐい追い詰められている。


「ひゃあぁ!!?」


ん?また女性のような甲高い悲鳴が聞こえたような……?


「ちょっ!?分かったから!?とにかく離れろって!!?」


真夜が慌てた様な声で俺を引き剥がそうとしていた。うん。どうやらさっきのは絶望のあまり聞こえた幻聴かもしれない。

俺は、これ以上やって頼み事を断られたらいけないと思い、すぐに真夜から離れて、これまでの経緯を説明した。


「……はぁ〜……事情は分かったけど……だから、あの時散々大丈夫か?って聞いただろう……」


「うぐっ……!?」


呆れたように溜息をついてそう言う真夜に、俺は言葉を詰まらせる。

実は、春期実力テスト1週間前に、全くテスト勉強らしい事をしていない俺を、心配して真夜は「大丈夫か?」と何度も声をかけてくれたのに、それを俺は「大丈夫!大丈夫!」と受け流してしまっていたのだ。その結果がコレなのだから、真夜が呆れるのも無理ないだろう。


「コレに懲りたら、今後はテスト勉強期間中はちゃんと勉強するんだぞ」


「えっ?それじゃあ……!?」


「これで貸し一つだからな」


イケメン風の苦笑を浮かべてそう言う真夜。だが、今の俺にはそれが天の微笑みに見えた。真夜から教われば今からでも何とかなるはず!これで「コングダム」は救われる!!



だが……世の中そんなに甘くなかった……



「ちょっ!?そいつばっかりズルいわよ!!?」


「木崎君!私にも勉強教えて!もちろん!保健体育でも可よ!!」


「待て!!女子ばっかズルいぞ!!俺にも勉強を教えてくれ!!真夜!!」


「もう!またこのゴミ邪魔よ!!」


俺達の会話をいつの間に聞きつけていたのか、女子だけでなく、男子も真夜に教わりたくて真夜に群がり始めた。しかも、再び現れたブサイク女に再び蹴り飛ばさた俺は、真夜から離されてしまう。


「ちょっ!?待って!?みんな!?落ち着いて!!?」


真夜の制止の言葉を聞くはずもなく、真夜はその集団に拉致されるかのように連れ去られていった。


「…………ちきしょおぉ〜ーーーーーーーー!!?またこのパターンかよぉ〜ーーーーーーーー!!?」


俺は嘆きのあまりそう叫んだら、再び生徒指導の先生に見つかり、そのまま再びこってり絞られた。いや……先生……俺よりももっと厳しく指導しなきゃいけない集団があるのだが……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

イケメンには秘密がつきものらしい 風間 シンヤ @kazamasinya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ