我が魔王は・・・

一飛 由

第1話

我が魔王は傍若無人である。

今日も俺のベッドに飛び乗ってきたかと思えば、跳ぶわ叫ぶわの大騒動だった。

おかげで寝不足な俺は、目の下に大きなクマができてしまっている。

そんな俺を見てパンダみたいだと笑い飛ばすのだから、魔王の呼び名に偽りはないだろう。

せめて少しくらいは心配とかねぎらいの言葉のひとつでも掛けてくれればいいのにと思うが、それは多くを望み過ぎだろうか。

以前、家に仕事を持ち帰ってきたときに書類を全滅させられた案件に比べれば、まだマシなのかもしれない。

結局、荒れ狂う暴君から逃げ出し、安寧の地へと閉じこもったわけだが、これもそう長くは持たないだろう。

やはり、トイレは偉大だ。

束の間の休息を味わいながら、俺は安堵の息を吐く。

できることならずっとここに居たい。

だが、それはきっと無理なことなのだろう。

なぜなら――。

途端、リビングの方から何かが崩れる音が聞こえてきた。

俺は慌ててトイレを飛び出し、現場へと向かった。

そこに居たのは、無残にも床上に転がった、先日購入したばかりの薄型テレビやらDVDプレーヤーと、それらの上で笑い声を上げる我が魔王。

遅かった。

こんなことなら、もっとテレビ台を高くすればよかった。

自分の考えの甘さを後悔しながらも、俺は魔王へと近づく。

そして、愛らしくも最強な、我が魔王を抱え上げ、子供部屋へと連行するのだった。

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我が魔王は・・・ 一飛 由 @ippi

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