魔法少女エクサ・ルミナス、異世界に召喚される

七次元事変☄️💥

異世界だし魔法少女だって明かせ……ない!?

第1話 闇との最終決戦! エクサ・ルミナスよ永遠に!

 親友と一緒なら、まだ頑張れる。再び立ち上がった花海はなみは親友に語りかけた。

「これが私の、最後の変身! いくよ、小鳥!」

「うん、花海はなみ!」


「コスモンとソルンも、行くよ!」

「やってやるモン!」

「うぃ、負けないルン!」


 覚悟を決めた二人の少女は、月のような大きさと化した宿敵をまっすぐに見据えた。その間にも宿敵が地球に広げている闇は広がっていた。


「「エクサ・コメットテェェル!」」


 天に翳された〈ギガルビー〉から彗星の尾が放出される。

 コスモンが顔を出し、花海を星の輝きに包んだ。同様に天に翳された〈ギガサファイア〉からはソルンが顔を出し、小鳥を太陽の輝きに包んだ。星のオーラに包まれた花海と小鳥はそのシルエット以外不可視となる。影にコスモンとソルンの光が重なった瞬間、光が爆発し、空間が断絶された。


 服が表層から順に亜空間に送られ、どこからか出現したのは黒を基調とした紅線模様のマフラーワンピース。次に足元からハイソックスが着装された。そしてスカートが爆発。ふわふわのパニエがスカートをブロックした。右腰に大きなウエストリボンが結ばれ、天地に構えた両手に指ぬきのミトングローブを嵌めて完成。


 黒地にピンクを基調とした服に着替えた花海に対し、黒地に瑠璃色を基調とした服に着替えた小鳥。各所のフリルは勇気の証。


 身体に込めた力と共に、纏った光が爆発霧散する。

 輝く光を抱きしめて、星の力をその身に宿す。

 大盤振る舞い、髪の色がピンクとマリンに染められて。

 星を纏った女の子は、胸の光を抱きしめ叫ぶのだ。


「星の輝き! <エクサ・ルミナス>!」

「灯す輝き! <エクサ・エナル>!」


 変身時の自動動作が終わり、見つめ合い頷いた二人は宿敵、〈エイミー・ハーボック〉に向かって跳躍。

「「だぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!!」」


 ッバン!


『どわああああああああ!?!? なんだ!? <エクサ・ルミナス>を倒した今、私の邪魔を出来るものが地球にいるとは思えない!?」


「それがいるんだな!」

「私たちが、あなたを止める!」


「貴様……<エクサ・ルミナス>! そして……まさか、風間 小鳥!?

 <エクサ>の力を得たのか! だがッ! 今やこの〈エイミー・ハーボック〉はッ! <ヨタ>のレベルにまで達しているッ! 最早負ける道理などッ!」


 バンッ!

 震脚! すさまじい気迫が、エイミーを一歩後ずさらせる!

 


「星の輝き <エクサ・ルミナス>ッ!」

「灯す輝き <エクサ・エナル>ッ!」


 ふたりはエイミーをまっすぐ見据えて、指をさした。

「「夢を圧潰すおつぶす闇の僕よ、眠りの世界へ還りなさい!」」


 目線を交錯させた星の魔法少女たちと星墜炎団のエイミー・ハーボック。

 最終決戦が始まろうとしていた。


「<エクサ・ルミナス>! 我が野望の障害、今度こそ打ち倒してくれる! 

再び床を舐めるがいいッ!

<ヨタ・ディバイディング・ゼロ>」


「皆が泣かなくていいように、私は……私達は負けない!


<エクサ・フォトンキャビテーション>!」








一ヶ月後。


「(なんて事もあったけど、最近すーっかり平和だなぁ)」


<エクサ・ルミナス>=月鏡 花海つかがみ はなみは学校の授業を受けていた。


 <ラボ・エントロピー>のボスを倒し、『時間を巻き戻して過去を変える』という野望を阻止した花海は、それ以来全く無くなった<ラボ・エントロピー>の事件を思い出しながら、授業を受けていた。いや授業は真面目に受けているのだ。


「このように、惑星は互いに引力で引きつけあって、この重心を中心に回転する軌道をとっています……」


 惑星の公転の項目だ。

「コスモンも太陽の周りをまわってたモン。遠くにコスモンの兄妹たちもまわってたモン!」


「しっ〜、授業中だから静かにしてて〜」


「静かにしとけよ〜」


 板書をしていた先生が注意した。クラスのみんなは今の声誰? などと訝しんでいた。まあまあいつものことである。


 暫くしてチャイムが鳴り、授業が終わった。昼休みである。

「宿題の場所は分かったか〜。しっかりやっとくんだぞ!」


 先生が資料を片付けて教室を出て行った瞬間、廊下から声が響いた。


「花海一緒にご飯たーべよー!」

「お、きたきた!」

「仲良いよねー」


 最近の2-3名物「昼休みになった瞬間襲来する風間 小鳥かざま ことりだ。


 次は後ろのドアが勢いよく開いて……ガタッ。

「あれ? 鍵閉まってるのかな? 今日は前から行こっと!」


「誰か鍵閉めた?」

「いや……そういえば授業中はドア空いてなかったか?」

「松本閉めた?」

「閉めてないよ?」

「あ、前は開いてる!」

 小鳥は前のドアから入ってきた。丁度同タイミングで花海はA定食分のお金を持って教室から出ようとして……開かない。


「開かない!? ていうか、いつしまったの、このドア!?」


 そして、教室の床が光り出した……

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