第5話 密談!? 狙われる<エクサ>の力!

「魔族が襲来したというのは本当か!?」

 

 執務室。ディスプレイ王は叫んだ。


「はい、王様。襲来した魔族により、異界人とその護衛に付いていた兵士の一部に、魔王の呪詛が掛けられたようです。効果はレベルアップの阻害……すなわち必要経験値量の増加のようです。

それよりも……お耳にしなければならないことがございます」




「なにぃ!? 魔族を撃退した者がいる!? 名前は<エクサ・ルミナス>と<エクサ・エナル>だと? 聞いたことのない名前だが……本名とは思えん。<スキル>の上を行くという伝説のある<クラス>名か? レベル1で魔族を退けるほどとは強力な力だ。是非とも余の物としたい。スキル封印だけではなく、奴隷の首輪を付けて完全に反抗できなくしなければ。その後は死ぬまで戦争に駆り出すのがよい」


「しかし王様、正体が分からないのです。水晶で<エクサ・ルミナス><エクサ・エナル>というスキルやクラスが表示された者はいませんでした。分からないからと言って全員に奴隷の首輪を付ければ、ただでさえ遅いレベルアップがさらに1/10000の効率に……レベル1から2に上がるのにラビット一万体……一生レベルは上がらず、召喚の意味が失われます」


「ぐぬぬ……それでは次に魔族が責めてきたとき、勇者は全滅しようぞ。何か打つ手は無いか?」


「……そうですね……やはりどうにかして炙り出すのが手っ取り早いのではないでしょうか」

 その後、如何にエクサ・ルミナスの正体を暴くかが検討された……








 が、それを聞いていた者が1人。

「……って言ってたルン!」

「テラうそでしょ!?」


 訂正。1人ではなく1星。

 ラボ・エントロピーとの戦いの期間中、よくやっていたコスモンの盗み聞きを、ソルンもやってみたいと言うのでソルンに屋根裏から話を聞いてもらったという訳だ。


「このままじゃ奴隷にされちゃうの!? 死ぬまで戦場!? やーだー!」

「ちょっと落ち着いて花海……されないから! 奴隷の首輪をつけられても外せばいいんでしょ? <エクサ>のワープ能力で外せるんじゃないの?」

「あれは身につけてるものも一緒にワープしちゃうんだよー!」

「あー、えー、じゃあとにかくバレないようにすればいいんでしょ! ほら暴れないで! <月下美人>のせいで力が強いんだから!」


 ジタバタ暴れる花海。押さえつけようとしているがどうにもならない小鳥。


「花海と小鳥はなかよしだモン……ほっといて寝るモン」

「そうするルン……ボクたちもみんなに見つからないように気を付けるルン」

「モン……スヤァ」


「んでんで! バレないようにするならやっぱり真面目に訓練を受けつつ逃げる機会を探るしかないと思うの!」

「それいいね! あ……逃げたらバレるよ! もしかしたらみんなが人質にされるかも!」

「だめじゃん!? テラうそでしょ!?」

「でもどうにかバレずに逃げられたら、自由に活動できると思うよ」

「ギガ確かに! じゃあ、しばらくおとなしくしてよっか」

「うん。それしかないね」

「じゃあ寝よっ!」

「おやすみなさい~」


 魔灯を消灯して、二人は眠りについた。<月下美人>の影響で花海の布団だけ既にしわくちゃだった。










 それを聞いていた者が1名。

 向こうしばらく、クラスの命運は、その人物が握ることとなる。

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