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 ハルとソラの二人はまた、狭い通気口の中を通って壁の中を移動し始めた。

 そしてしばらくの間、その迷路のような狭い通路を通り、先ほどのような、今度は四角い、あるいは三角形の形をした部屋を経由して、二人は上の方向へと続くはしごのある通路にまでたどり着いた。

「着いたよ」

 ソラは言った。

「着いたってどこに?」ハルは聞く。

「壁の出口にまで続くはしご」

 ソラは言う。

 それからソラはハルの前でその進行方向を上に変えた。

 ハルがソラのあとを追って進むと、そこには鉄のはしごがあった。それは初めからこうしてこの場所、つまり通気口の中に設置してあったものでは、どうやらないようだった。壁とはしごの材質が少し違うように見えたので、おそらくこのはしごも、機械技師たちが設置したものなのだろうとハルは思った。


 しかし、ハルとソラがはしごを登って、その狭い円形の通路の中を進んでいくと、やがて行き止まりになっている場所に行き当たった。

「ああ。やっぱり閉じちゃったか」ソラは言った。

「どういうこと?」ハルが言う。

「本当はここ、今は行き止まりになっているんだけど、私が師匠と入っていたときには、通路はちゃんと開いていたんだ。つまり、あの警報で、ここの道が使用不可能になってしまったってわけ」

 はしごを掴んだ、四つん這いの姿勢のまま、ソラは言った。

「つまり僕たちは壁の中に完全に閉じ込められたってわけだね」

「うん。まあ、多分そうなってるかな? とは思ってたんだけど、まあ、そういうことになるね」と顔だけを下に向けてソラが言った。

「どうする?」ハルが聞く。

「とりあえず、一度さっきの部屋に戻って、そこで作戦会議、かな?」

「OK」

 ハルはソラの提案を受け入れて、ゆっくりと狭い通路を後ろに向かって進んでいった。


 そして、二人は先ほどまでいた円形の部屋の中に戻ってきた。

「さて、どうしようかな?」

 うーん、背筋を伸ばしながらソラが言った。

「壁の外に出るはしごのある通路を塞いでる、あの邪魔な壁は、破壊することができないのか?」

「それは無理。あの壁は本当に特殊な材質で作られているから、破壊するのなら、それなりの準備がいるの」とソラは即答した。

「なるほど」とハルは言った。

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世界の終わり ワールドエンド 雨世界 @amesekai

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