若者のリアルなのかなんなのか…筆者があえてそういう風に書いてるのかは分からないけど、主人公が何したいのか全く分からない。
召喚されてすぐ、フラれた彼女とその彼氏と一緒の空間に居たくない、別行動だ~。
何故なら、琴子のことがまだ好きでそんなに簡単には割りきれないから。というのまではわかる。
だが、そう思っておきながら、自分はクロエ、スズ、受付のサラ、王女、と、次々と色気を感じてちょっといい気分になったり、いいように操られたり。
そんな自分のくせに琴子にはひどいこと言われた、みたいに、いっちょまえにショックを受けたみたいな顔した次の瞬間には受付のサラと話しただけで、気分があっという間に回復したり。案外ショックは軽かったのかい?
知性というものが主人公から感じられない。
まぁ人々がとかく美化したがる「恋愛」そのものが突き詰めると「単にセックスしたいだけ」というのは最近の精神医学の答えらしいけども。だからこそ年取ると共に精力が減退するから「恋」そのものをだんだん人はしにくくなるらしいし。
となるとこの若い主人公の意思薄弱さ、異性の色気を敏感に察知して躁鬱のように気分が変わるのは逆に若者のリアルなのか。
勇者としての異世界転生もの。一見すると、よくある感じなのだが、主人公アラタとその元カノ、現在の彼氏なども一緒に転生するなど一風変わった入り方。
登場キャラクターも豊富で、ドキッとする裏設定みたいなのも多くて先の展開が気になりだすと止まらなくなる。
とは言え気になった点がない作品とも言えず、まず展開がかなり遅いと感じた。
170話くらいまで読んだけど、まだ序盤の回想ってか別の視点の話をしてるとかどうなのかなぁって…。
今後の伏線みたいになってるなら良いんだけど、いきなり登場した人物がすぐ死ぬとか必要あるの?とか、結構恋愛要素を入れてくるけど、主人公アラタが非常に女々しいヤツで魅力的に感じない。
この辺を許容できるかどうかで読み手の評価が変わる作品だと思う。
主人公のアラタは転生前は20歳で社会人の大人って設定。彼女にフラれたのをいつまでも引きずってるのは、幼過ぎて違和感が今のところ拭えない。主人公がみんなに支えられて成長していく話みたいになってるけど、成人した主人公ならもう少し大人な感覚があっても良いような気が…。
剣聖などの他派閥が我が物顔で王国を好きにしていて自派閥の肩身がせまいなか、起死回生の願いをかけてアラタに文字通り身をかけて尽くして尽くしてプリンセスオーダー(王女直属騎士)に任命するところまでこぎつける。
ところが、当日にアラタが心変わりして魔王討伐に行くことになってしまう。
ここからは作品の記載から外れるが、王女の動向が把握されていないはずはなく、アラタとの治療目的の同衾はバレていないにしても二人きりで部屋にしけこんでるのくらいは貴族界隈で話題にならないはずがないだろう。
この時点での王女に対する周りからの評価は【勇者の出来損ないを勇者に寝取られた王女様】になっていてもおかしくない。
アラタは当初、寝取られ被害の意識を持っていたけど、無自覚に自分がされた一番いやなことを王女に行っていていることに気づいていない辺りに人間味を感じる。
気づいていないからその後も平然としている辺りが作品として現実的。
アラタに裏切り行為をかまされた王女の今後の心情描写に期待したい。
自分が王女だったら最初から剣聖とくっついてビジネスライクな付き合いで割り切っていた方がまだましだったと思いたいレベル。
異世界に勇者として召喚された複数人の男女。
主人公はある理由で色々諦めてるが、異世界に於いてもそれが付きまとう。
しかしある事で勇者を辞めて異世界で生きる事を決めると、少しずつ歩み始める。
異世界と現実世界を絡めた様々な人間模様を通じて、人間の弱さ脆さ怖さ、そして強さ優しさ、暖かさが語られます。
コメントやレビューに「速くクビになってタイトル回収を」とか良く書いてありますが、ある程度纏めて読むと、その設定のボリュームや人物像、世俗風習、世界観などを主人公アラタの行動に合わせて説明がされているのがわかります。
そのおかげで単なる「説明」部分を退屈せずに、読み飛ばす事もなく理解できました。
改めて「文章」という限られた表現方法の枠組みの中、未だに描かれていない膨大な設定を持つこの「物語」の連載を、破綻させる事無く進行させて来た作者さまのこれまでの努力を賞賛します。
万人向けとは言えないかもです。
ただ、異世界召喚モノが溢れる今、一風変わった話を欲している方にはオススメかと思います。
個人的には500話1000話となっても追いかけて行きたい作品です。