復刊『Animec』感想(2)

北川エイジ

第1話

○富野監督ロングインタビュー


何でそのときに僕を呼んでくれなかったの?            (P47)


「俺、関係ないから」と言いたいけれど、現実はそうはいきません。 (P48)


面白い。富野さんの声が頭のなかで再生され、全身に響き渡ってくるようです。富野さんのアニメックに対するスタンスはそうだったのかと初めて分かるインタビューで、全体的に生々しくもあるお話。

富野視点によるアニメ誌の捉え方が独特で驚くやら感心するやら、このインタビュー記事は期待に違わない。

小牧さん、井上さんは人の根底にあるリアルを引き出すのがうまいですよね。


○アニメグッズはこうして生まれた!


ガンダムに関しては放映中は何も売れなかったと語られていますが、サントラとアニメックは売れていました。            (P104)


――なんと言いますか、体の奥の底にある、澱のように溜まった部分に届く一節。こうした観点というのは気になりつつも見過ごしがちなため新鮮です。

昔の話なのに現在に直結するお話。


読んでいてつくづく、アニメージュを処分(ナウシカ連載以前のもの)しアニメックを保管した理由を思い知らされる。上っ面ではなく皮膚の奥に染み込んでくる記述がアニメックの誌面にはふつうにあるんですね。


思うにこうした文章の排除が活字媒体の衰退へと・・そしてネットで現在進行形でつづく言論の自由への巧妙な侵害につながっているのではないかと思わせます。

復活アニメック。

読書が体験となる稀有な現象がそこにはあります。


・・では不満はないのかというと疑問がないわけでもなく、西川くんが参加しているのになぜ市川紗椰が参加していないのかと、まあその点は不思議に思いますね(事務所が断ったのかな?)。





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