【"僕とゲームをしよう"】

リオン

第1話 誰かからの手紙

ある朝、目が覚めたベルは、テーブルに置いてあった手紙を見つけた。すると迷いもなく中身を確認しようと手紙を開けた。


【僕と楽しいゲームをしないかい?】


そんな意味の分からない内容。何となく手紙を裏返すと、そこには文の続きが書かれていた。


【今日の放課後、屋上で待ってるよ。】


これはゲームをしたいなら屋上まで来いと

言いたいのだろうか。ますます分からなくなったベルは、そのまま手紙をカバンにしまい、登校準備を済ませ、そのまま学校に向かった。その途中で親友であるレン、ランと合流。「ベル、どうかしたのか?」 そう聞いてきたのはレン。普段から冷静なだけあってなかなか鋭い。「もしかして、好きな子でも出来た!?」 今度はランが話に入ってきたが、あえてスルーし、レンに朝の手紙を渡した。「何だこれ?」 そう聞いてきたレンに 「俺もよく分からない。」 と答えたベル。「誰からの手紙なんだ?」 「それも分からない。」 「そんな事もあるんだな…」 少し困った表情のレン。それに対して「面白そうじゃん!私も行きたい!」と言うラン。「知らない人について行くなって小学生の頃習わなかったのか?笑」と半笑いで突っ込むレン。「え?俺も行こうと思ってたんだけど…」 ベルがそう呟くと今度は

苦笑いで「お前もかよ…普通に考えて危ないだろ…」とため息を吐いた。しばらくそんな話をしていると、いつの間にか学校に到着していた。みんな同じクラスなので、そのまま一緒に教室に入り、自分の席に着いた。少し待つこと数分、担任の教師も教室にやってきた。そこから面倒臭い授業が始まったかと思えば、凄く長いため、休憩時間が遠く思えた。とはいえ時計を見ればあと数分で待ちに待ったお昼になる。お昼は、いつもの3人で屋上に向かった。弁当を食べながら話す内容はやっぱり朝の手紙。「楽しいゲームねえ…」 「何か心当たりがあるのか?」 「特にないな。でも何か危険な雰囲気が…」 「でも面白いゲームだって書いてあるからきっと楽しいよ!」 ランはいつも以上に目がキラキラしていた。それとは逆に怪しむレン。しばらく沈黙が続く。みんな考え事してるのだろう。普段なら気にならないこの空気も今は少し息苦しく思えた。それを察したのか、ランが急に話を始めた。「そういや昨日、ママが買ってきたケーキを食べちゃって…」と喋り始めたが、思った以上に長かった。話が終わる頃にはちょうどお昼休憩も終わる時間で、慌てて教室に戻った3人。その後、当たり前かのように授業をサボる。数時間後、何気なく窓の外を見ると既に空は茜色に染まっていて、みんなが家に帰って行く中、3人は引っ張られるように屋上の前に並んだ。「放課後、屋上に。か…」 いざ屋上に来ると心臓が飛び跳ねるような感覚に襲われた。そんな事も気にせず屋上の扉を開けたランは一目散に屋上の真ん中に走っていった。それを追いかけるように2人も走った。その直後、3人とも気を失った。

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