第11話 特異能力者
近くの交番に駆け込み事情を話した。
そして、少女から事情を聴くために交番の中の一室を借りた。
交番の一室は、机と椅子、そして本棚に資料集が置かれている質素なものだった
少女を机を挟んで向かい側の椅子に座らせて一対一で話を聞くことにした。
「まず君の名前は?」
「木村 雫」
「本当は、なんで狙われるの?」
雫は会った当初いつも行っている店の様子がおかしいと言ってきたがさっきの男たちの反応を見る限りでは完全に雫が狙われていた。
「、、、、」
数秒黙ったのちに雫は、口を開いた。
「私、実は特異能力者なんです。」
特異能力者とは、常人よりも強い生命力を持ち高ランク能力を保持している
しかし、通常能力を行使するのに必要としない代償を支払わなければならない。
特異能力者は、数が少なく20000人に1人ともいわれる。そして、一部の宗教では特異能力者の臓器を食べると食べた部位の臓器が健康になると信じられていた
もちろんそんなことは、科学的に証明はされてはいないがその希少性から闇取引の的となっていた。
「なるほどね、特異能力者か、、狙われる理由も大体分かった。それは、そうとさっき使ってくれた能力の代償は、大丈夫なのかい?」
「実は、私の能力の代償は、食べた物のエネルギーを消費するので今、かなりきついんで何か食べ物を貰えませんか?」
「わかった、ちょとまってて」
そう言い残し部屋を出て交番の警官に何か食べ物がないか聞いた。
そうするとお菓子ならあると言ってチョコやクッキーの詰め合わせのようなものをくれた。
「すまない、お菓子しか無いが大丈夫?」
「大丈夫です。チョコとかあると良いんですが」
「チョコならあるぞ」
そう言って雫にお菓子の詰め合わせを渡した。
早速食べ始めたが女の子が食べる速さでは、無い勢いで食べていく、そしてあっという間に詰め合わせは、空になった。
そうして、ふぅーとため息をつく雫を見ていると少しドキッとしてしまった。
さっきは、バタバタしていて考えてもいなかったが雫は、体型は、出るところは、出ていてとても女性の魅力を出しており、そして、長いロングヘヤーがとてもにやっていた。
雫に見惚れていると声をかけられた。
「お巡りさん大丈夫?」
ふと我に帰った。
まだ雫は、高校生か、そこらの年だろう自分とは、5〜6年ほど歳が離れているしかも、相手は、未成年手なんか出したら大問題だ。
「あ、ぁごめん考え事してた。」
「お巡りさん、私これからどうすれば良いのかな?」
「ひとまずは、家に帰ってもらうしか無いけど君の家の周りを警察が巡回する様にするから心配しないで」
「わかった」
「そう言えば君の状況は、家族は、知ってるの?」
「家族は、もういない私が特異能力者だから面倒ごとに巻き込まれるからってお父さんとお母さんが口論になって家族は、崩壊しちゃった。
なんとか、おじいちゃんとおばあちゃんに引き取ってもらったけど、見放されちゃたみたい」
「見放された?」
「実はね、さっきのお店、いつも行ってるって言ったけどあれ、嘘いつもお世話になってるおじいちゃんとおばあちゃんに恩返しがしたくて危ないから近づくなって言われてたお店に手伝いに行って驚かせようと思ったんだけど、、、」
「君の臓器の取引の話をしていたということか」
「私、こんな人生になるんだったら特異能力で産まれてきたくなかった。小さい頃は、高ランク能力者で少し嬉しかった。
でも成長するに連れて、代償も大きくなるし、面倒ごとには、巻き込まれるこんな事になるなら、Fランク能力者でよかったのに」
聡太は、衝撃を受けてしまった。
目の前に自分とは、正反対の悩みを持っている少女がいる。
しかも、自分とは、比べ物にもならないほど過酷で悲しい人生を送ってきている。
「産まれて、来なかった方がいいなんて言っちゃダメだ」
「えっ、、、」
「俺もそう思った時期があったよ、君と比べたら些細な事だけど、俺は、Fランクだったんだよ。
Fランクは、皆んなから馬鹿にされてそして何もかもが冷遇されるんだよ、就職の時も一緒懸命勉強した所でずっと遊んでいる俺よりもランクの高い奴には、勝てない。悔しかった、そして、自分は、必要とされていないんだとも思った。」
「じゃぁなんで」
「俺は、人は誰しもが使命を持って生まれて来たと思っているんだ。
そして、今俺は、君を助ける事が使命だと思っている」
「誰もがそんな考えで生きては、いけないんです。」
「でも、君は、1人じゃ無い」
これは、昔名も知らない老人から励まされた言葉だ。
そう言うと雫の目を涙が覆った。
雫は、うれしかった。
自分を見てくれている人がいる
この場所に存在しててもいいと
昔から災の種だとしか思われてなかった自分にとっては、救いの言葉以外のなににでも無かった。
暗躍する者 Yanappu @Jafy
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