舞台は異世界。泥臭く、人間臭い現代魔術師の活躍は必見

主人公とヒロインを見守りたくなる異世界物は久しぶりでした。
男女の現代魔術師がある日、訪れた異世界に閉じ込められてしまう転移物。
常識あるキャラ達、オリジナル性高い学園・魔術の定義、丁寧な心理描写を描いた異色の作品です。

元の世界に帰還できない不安の中、主人公達は持ち前の魔術で粗削りながら活躍を見せます。
このテイストからチート無双展開に方向転換しなかったのは、評価できるポイントです。

最初、主人公は魔術を人に向けるのを躊躇う。
元の世界を回想しつつもヒロインと協力して見知らぬ世界の不安と戦います。
人間臭いながらも常識人同士の会話には安心感を覚えました。
人間臭さやリアルな感情を描写してもダレずに読み易く、燃える文章には目が滑ることでしょう。
不完全がゆえに眩しい二人の物語に触れてみてはいかがでしょうか。