各章のあとがき&解説

【おとぎ話の悪役令嬢は罪滅ぼしに忙しい第二部】

 ※各物語、修正後、又は執筆終了後に書いてます。



 幕間


 テーマは『すべての始まり』。

 天からやってきた使者の物語。とても短い話ですが、この作品の根っこ部分になりますので、ぜひ読んでいただけますと幸いです。



 第7章:偉大なる魔法使い


 この世界の進行役、案内人のドロシーの過去です。

 世界はオズの魔法使い。テーマは『歴史』です。


 あまり公言してこなかったのですが、読者の皆様から世界観がわからないとお声をいただいておりました。どの時代なのか、どの国なのか。

 ではおとぎ話はどこの国のどこの場所で行われた物語なのでしょうか。

 そもそも魔法が存在する時点でここは地球ではないでしょう。


 ということは、私達が住んでいる世界とは異なる場所。


 彼女達がやってきた異世界こそが私達の住む世界です。

 だからこの世界へやってきたドロシーはとても不思議がってました。


 私が小さい頃に初めて見たトリップヒロインストーリーも童話もまさにオズの魔法使いでした。とても楽しく書かせていただき、そして、本作品の一番大切な原点となる章です。



 第8章:泡沫のセイレーン


 ベックス家になぜ破産する未来が起きたのか、答え合わせの海の物語。

 世界は人魚姫/ジャックと豆の木。テーマは『愛と憎しみ』です。


 修正前の8章を知る人ぞ知る情報かと思いますが、『なんかひらがな多くなったな』って思いませんでしたか? 


 8章に関しては色々と【闇】があります。

 私自身、何が面白い物語なのかがわからなくなり、何を書いていいか全くわからなくなった時期でした。

 ひらがなが多かったのは、原点に戻ろうとして、児童書を読み漁った影響です。


 読んでいて分かったと思いますが、この章の舞台はタイタニック号沈没事件です。本当は汽車が良かったのですが、鋼の錬金術師や鬼滅の刃など、名作が汽車で大暴れしている描写があったので、私は海に行こうと思ったところ、船の資料が見つからない。船の設計がわからない。区画とはなんぞや。ボイラー室って何。なんで第6ボイラー室で火事が起きてたことになってんの、つーかボイラー室って一つじゃないの? エンジンどこ? どこで船操ってるの? ねえねえ、どこなの。設計図クレメンス状態になり、執筆がかなり遅れました。旅行サイトや、旅行ガイドを読み漁り、船の構造を調べ、自分なりに理解したつもりだったのですが、どうしてもわかりにくい箇所が多いと思います。結局Wikipedia様の情報を頼りに、こんな感じ! というので書いたのでまじもんの妄想の塊です。きっと実際はエレベーターなんてない階段だらけの船だったことでしょう。


 そして、この頃数多くの百合作品が世に出始め、みんなが手に取り始めた頃でした。その中には私が前から応援していた方々も多くいらっしゃいました。そして、書籍の選考から外されたというショックを私が一番引きずっているタイミングでした。


 私は選考外になった。だからこそ書籍化されている作品よりも、面白いものを書いてやる。書かないといけない。とにかく人の目につくものを書いてやるんだ。でないと悔しくて、頭がおかしくなりそうで、躍起になり、自暴自棄になり、なぜこの物語を書いているのかわからなくなり、この章で何が伝えたいのか何を表現したいのかわからなくなってしまい、ただ小説を載せたいだけなのか、ただお疲れ様とコメントが欲しいだけなのか、違うはずなのに私の醜い承認欲求が出てしまい……この時期、驚くほど何も書けなくなってしまいました。


 期間が開くにつれて、どんどん書籍化されている方々は話題に上がるようになり、その記事やブログを見るたびに私はどうしようもない腸が煮えくり返るような強い劣等感に苛まれてました。


 人は人で自分は自分なのに。

 切り分ければよかったのに、切り分けることができず、何も書けなくなってしまいました。


 それがとても悔しくて、ずっと悩んでいた頃に、歌手を目指されている知り合いから、自分はずっと歌っていられたら人気にならなくていい。歌っていられるならそれが幸せ。という話を聞いて、自分はどうなのか考えてみました。


 私は2018年にこの作品を投稿した際に、いただいたコメントの返事を返してませんでした。読んでくださる方と馴れ合うのが嫌だったからです。

 あの時の私はただ好きなものを好きなように書いてるだけでした。他の人とは比べず、本当に好きで本気で書いてる人と比べるなんて失礼だから、本気で書いてない私は、私のペースで好きなものを書いていこうと思って、執筆してました。


 いつの間にか、気持ち悪いほど承認欲求が高まっていたようです。

 今まで通り、私は私の好きなものを書いていこうと思えるようになってから、また少しずつ書けるようになり、無事カトリング島まで到達しました。


 この章を制作していた半年間、とても辛かったのですが、自分の成長にはかなりつながったと思います。私が本気だと思っても、それは人から見れば本気ではありません。潔く書籍化を諦め、私が書くものはもう何書いても面白くないし需要もないから別に何書いてもいいや。どうせ誰も見ないし。と思ったら結構書けるようになったという余談でした。


 本作品を読んでくださっている読者の皆様には、感謝でいっぱいです。いつも読みづらくてすみません。


 修正後の8章は修正前よりも色濃くなったと思います。

 人魚姫と巨人の物語、いかがでしたでしょうか。



 第9章:正しき偽善よ鐘を鳴らせ


 世界は、オオカミ少年/アトリの鐘。テーマは『嘘つき』でした。

 ウィンキーの国の王となったアクアが治めていたアトリの村に起こった悲劇。そして、テリーとメニーに起きた悲劇の物語。


 個人的に、私がストレス解消に痛めつけても誰にも怒られたりしない人物がテリーであると思っています。

 だからテリーを虐めるのはとても楽しいです。

 彼女は悪役なので不幸にしておきたい人間ですし、私は彼女を物語一番の悪だと思ってます。

 オズよりも質が悪いのはテリーだと思い制裁をくわえているため、おとつみはテリーが「どうしてよおおお!」ってなるシーンが多いと思います。

 テリーがめちゃくちゃ痛い目に遭ってたり、酷いことされてるシーンが多い時は、おそらく私のストレスがMAXレベルまで達している時であると察していただけると嬉しいです。(第四章執筆中はストレス地獄でした。見返すとテリーが悲しんで泣いてたり悔しがってたりするシーンが多いです。テリーざまあみろ。)


 ただ、9章に関しては、作者である私自身も考えさせられました。テリーに起きた悲劇。そもそもメニーがいなければテリーが苦しむこともなかった。メニーが理想の妹であり、テリーのお気に入りであったからこそ、メニーを虐げる家族を見て、なお灰をかぶり続けるメニーを見て、テリーは苦しみます。


 これを読んでいただいてから第六章を読んでいただくと、セーラにテリーが伝えている言葉の意味がより理解できるのではないでしょうか。


 メニーも被害者であり、彼女も苦しんでいましたが、テリーもテリーで苦しんでいた。ガラスの靴のシーンは本気で書くのをやめて現実逃避するほど嫌でした。テリーを虐めて楽しいはずなのに、本気でここのシーンを書くのは苦しいだけでした。書いててどうしてテリーがこんな目に遭わないといけないんだろう。いや、私が書いてるんだけど、などと複雑な思いをしつつ、物語を進める作業はしんどかったです。後のクレアとテリーのやりとりに救われました。


 やはりテリーからするとメニーは妹で、恋人はクレア一択なんだと思います。だからって妹とキスをするのはどうかと思いますけどね。やっぱりテリーは悪い女です。酷い目に遭って正解かも。


 ちなみに、皆様、山月記という物語はご存じでしょうか。

 今はどうなのかわからないのですが、私は国語の教科書で学んだ物語です。当時はわからなかったけれど、第九章の執筆が始まる前にふと思い出し、読んでみたら、テリーとかなり重なる部分があり、虎を狼に変更し、童話ではないけれど、入れさせていただきました。


 大人になってから読むと、かなり胸に来る物語の一つだと思ってます。



 第10章:お休みなさい 夢と希望


 世界は、眠れる森の美女。テーマは『学園』『生き続ける命と死んでいく命』でした。


 ずっとやりたかった学園もの。なぜならば、悪役令嬢の物語でとても多いから。

 魔法とか、魔王とか、王子様とか、ヒロインとか、社交界とか、貴族が集まる学園悪役令嬢物語。卒業式には婚約破棄イベント。乙女ゲームなどにトリップした系に多いイメージですね。


 記憶を失ったサリアを取り戻すため、不気味な旧校舎の七不思議に挑むターリア(死んでいく命)とテリー(生き続ける命)の物語でした。


 いやー……泣きました(´;ω;`)私が(笑)


 よくあるんです。感情移入しちゃって泣きながら執筆することが。

 特に中毒者の精神世界描写などでよくあるんですけど、ターリアとカリスに関しては……ガチでページ開くだけで涙がぼとぼとと出てました。

 もしかしたらテリーの見ていたものが私に伝わってきたのかもしれません。


 カリスの罪を背負い、呪われた家臣達、両親を守るために動いたターリアの哀しみと愛のこもった物語。気に入って頂けましたでしょうか?


 そして、Twitterでも当時ぽそっと言ってました。「一番書きたくない物語」だと。


 ドロシーの件ですね(´・ω・`)


「オズ」の存在がしっかりと生まれたのが第五章のハロウィンの物語でした。その時点でドロシーの未来がこうなるんだと見えて、「あー……」という気持ちになったのを覚えてます。ただ、ドロシーもオズも思ってることは同じで、ただ「迎えに来てほしい」だけなんですよね。トトは家族に。天使は父に。


 だから、結局あのままトトが生きていても、メニーとテリーと一緒に過ごして幸せだったとは思うのですが、後に自殺してたんじゃないかなって思うので、テリー(ドロシーの魂)を守ることで死ねたっていうのは、トトにとってかなり良い逝き方だったんじゃないかなと、個人的偏見で思ってます。


 ターリアはカリスが死んでも生き続け、ドロシーを失ったテリーも生き続ける。

 それでも結局何が変わるわけでもない現実。

 ただ、その人がいないだけ。

 とても虚しいですよね。


 余談ですが、私も小説家を諦めた時、似たような気持ちでした。

 結局私が小説家にならなくたって、世界は変わらない。ただ、私の物語が世に出ないだけ。生活も、趣味も、周りも、何も変わらない。

 努力は報われない。でも誰かの努力は報われてる。

 でも何が変わるわけでもない。

 今日も世界は動き続け、誰かが生まれ、誰かが死んでいる。

 虚しくて、約1年半年ほど、本作品の制作を休止をしてました。

 結果、思った事があります。


 かけまほ書くの超楽しい!(*'ω'*)ウェーイ!

 そろそろ……ドジえもんにも手を付けないと……。


 後編アップ5日前に精神異常をきたし、橋から川に飛びこもうとしたところを自転車乗ったお兄さんに発見されて止められたのは良い思い出です。(あの時のお兄さん、お鍋は元気に生きてます(*'ω'*))



 第11章:魔法の鏡よ姿を見せよ


 伏線回収回。

 世界は様々。テーマは『師弟』『時間軸』でした。


 魔法使いの師弟のお話もなかなか多い物語ですよね。全体修正時、二章目の話を書いてる時に思いついた物語でした。


 レッドとリトルルビィがこのままでは報われなさすぎるなと、正直思いました。リトルルビィが兄の死を乗り越えたたくましい子っていうのも有りだと思ったのですが、妙に私の中でレッドの顔が残り続けました。(Twitterにリトルルビィの血を飲んで悲しげにしているレッドのイラストが投稿された時期です。)


 一か八かで第六章に電話の仕掛けを残しておきました。物語が上手い具合に進まなければ、何の変哲もないシーンですよーって言うことも出来たのですが、レッドがいたことにより成立しました。


 心から感謝を言いたい。レッド、足掻いてくれて本当にありがとう。よくぞ生き残った!!


 また、第八章からそれとなく予告をしていた【ルンペルシュティルツヒェン】。この童話は世界中に似たような物語があり、日本にも【大工と鬼六】という名前で伝わってます。


 どこで見たのか忘れたのですが、名前はその人物の魂であり、それを名乗ることは魂を預けることだということで、簡単に名前を教えてはいけないと聞いたことがあります。ルンペルシュティルツヒェンの物語や、大工と鬼六を読むと納得してしまう部分があるのがとても不思議です。


 個人的に面白いと思った魔法道具シリーズですが、昔の時代には統一されてヴァイオリン、笛、ハープ、鏡、靴など、同じようなものが沢山出てくるので、整合性が取れて非常に助かってます。

【ローランドの恋人】と、【いばらの中のユダヤ】など、共通する部分が多かったのでとても楽しく執筆させていただきました。

 元ネタを知らない方は、どちらもグリム童話なので、ぜひ読んでみて下さい。



 第12章:おとぎ話の悪役令嬢は罪滅ぼしに忙しい


 最終回です。世界はオズの魔法使い。テーマは『ハッピーエンド』です。


 私は曖昧な終わり方をする物語が好きじゃありません。

 俺達の冒険はまだまだこれからだぜ、みたいな展開は好きじゃないです。正直。

 何かを終わらせてほしいです。

 命を終わらせるのか、物語を終わらせるのか、冒険を終わらせるのか、何かを終わらせてほしいです。それで、もう、おしまいにしてほしいです。


 物語が終わるのは寂しいです。

 だからと言って、ずっと続くのは違うと思います。

 始まりがあれば必ず終わりがあると思います。そうでないと、それは完結とは言えないと私は偏見を持ってます。


 私の場合は、オズがいる世界を終わらせました。同時に、テリーが課せられてきた罪滅ぼしも本当はこの時点で終了しているのですが、彼女が未だにミッションを自分で作って続けているようです。終わってるのに。阿呆なんでしょうね。


 中毒者がいなくなった世界では、メニーに恋人はいません。でも、メニーは幸せそうです。彼女は彼女の人生を歩んでます。レッドも、リトルルビィも、ソフィアも、リオンも、クレアとテリーも、それぞれが歩みたい道を歩んでいるようです。


 私にとっては、これがハッピーエンドでした。

 皆様にとってはいかがでしたでしょうか?

 期待していたのにこんなもんか、って思った方もいらっしゃるかもしれませんね。


 でも、私がしたいことは、書きたいことは、全部書けたと思います。


 最終話はやっぱり、私が憧れている【本】という題名にさせて頂きました。

 私はもう満足です。テリーを虐め切りました。テリーは抗いました。その結果、テリーは愛する者達に囲まれる日々を過ごしているようです。


 もう悪いことすんなよ(*'ω'*)ノサヨナラ


 また、子供達についてですが……ちゃんとクレアとテリーの子供達です。ただ一人だけ、ドロシーだけは、クレアのお腹から生まれたため、少し魔力を受け取ってしまってます。本編が終わったので、番外編で書くかもしれません。


 その際はまた読んでいただけますと幸いです(*´ω`*)



 番外編について


 私はテリーのアンチ代表ですが……テリーは、良くも悪くも阿呆なんで、間違ってたとしても「あたしの選んだ道が正しい!」っていう女です。なので、世界を壊す度胸はないと思うので、ドロシーの選択で決めた世界、または別時間軸での話だと思って読んでいただけるとスッキリして読めると思います。

 あまり本編に関係ないので、気軽に読んでやってください(*'ω'*)


 本編は終わりましたが、今後も引き続き、マイペーースに更新していきます。




 あとがき、解説以上となります!

 気になったことがあればTwitterや、各小説サイトのコメント欄にて書き込んでいただけると、お答えいたしますので、気軽にお聞きください。


 また別作品でお会いしましょう!


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


 おわり!!(*'ω'*)




 石狩なべ

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【完結】おとぎ話の悪役令嬢は罪滅ぼしに忙しい二部 石狩なべ @yukidarumatukurou

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