案内人
かしまからこ
第1話
こんにちは。
何、迷ったの?
じゃあ出口まで案内してあげるから、ついて来て。
何そんな顔して固まってるの?
早く早く。
そうだ、何でこんな山奥にいるの?
え?
ああ、キノコ狩りか。
確かにこの辺、たくさんキノコ生えてるって有名だもんね。
たまに来るんだ、君みたいにキノコ狩りに来て迷子になる人。
その度にちゃんと案内してるよ。
えらいでしょ。
どのくらいキノコ採れたの?
え、まだそれだけ?
迷子になるの早かったね!
みんなけっこうどっさり採ってくるのに。
まあ、時期も終わりかけだしね。
もう夜なんてけっこう寒いし。
日が沈む前に僕に見つかってよかったね。
ほら、出口が見えてきた。
あそこから少し行けば、すぐ道路に出られるよ。
え?
ああ、いいよ。
お礼なんて何もなくて。
ん?
何、聞きたいことがあるって?
いいよ。
………僕が1年前に世間を騒がせた殺人鬼に似てるって?
指名手配中の?
そんなわけないじゃん、あははははは。
じゃあね、気をつけて帰ってね。
………せっかく案内してあげたのに。
帰れなくなったのは君が悪いんだからね?
僕に気付くから。
おわり
案内人 かしまからこ @karako
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