かつて竜が住んでいた異世界へ飛ばされてしまった氷室竜夫。何故か、命を狙われる羽目に。いつ、どこで、誰が襲って来るわからないという常に緊迫した状態で過ごさなければならなくなります。
あと、主人公が逃亡者……ということもあるのでしょうが、とにかく戦闘がエグいですね。まさに「命がけ」の状態で戦いが進んでいきます。ちょっと前の任侠ガンダムみたく、主要キャラがバタバタ討ち死にしていきます。「補正」というものが一切ない。それゆえ、読者は緊迫感を持って読まなければならない作品です。
そもそも、どうして戦っているんだっけ?
敵の正体って結局、何なんだろう?
これが不明瞭なだけで、ここまでハードでシリアスな作品になってしまうとは。恐ろしいですね……(;´∀`)
2021年1月12日。
最新話193話まで読了時点での感想。
見覚えの無い異世界へと召喚された主人公のタツオは、そこであらゆる者達から命を狙われる。
何故自分が狙われるのか。
狙う相手は何者なのか。
全てがわからないまま追ってくる相手を殺し、抗い、逃げ、戦う。
この物語は、かなり容赦の無いバトルファンタジーです。
主人公のタツオは追われる身であり、基本的に手加減できるような状況にありません。
また、相手も相手で本気で容赦の無い手段を行使してくるため、結果として登場人物達がかなり躊躇無く死んでいきます。
「まあ話の展開的に、キャラ的にこのキャラは〜〜」とかありません。
余裕で死にます。
最新話時点で生きてる重要人物も、いつその命を華と散らすかわかったもんじゃありません。
物語の舞台背景である世界設定についても面白いギミックが練り込まれており、読み進める内にタイトルの意味もわかる事でしょう。
「ヌルい話はもう飽きた」という、ハードな物語をお探しの方には特にお勧めの物語となっています。
気になる方は、是非ご一読を!
Twitterの【#RTした人の小説を読みに行く】の企画から来ました。
言語や化学、生活環境にその世界の住人の常識など、主人公の世界と異世界のズレを設定やストーリーの流れを使って擦り合わせ埋めています。
昨今溢れる異世界物とは異なり、主人公は一般的な常識、考え方、人間性を持っており、もし自分が異世界に行ったらこんな風に感じたり考えるのかもと思わせてくれます。
その主人公が強い力を得たことで少しずつその自分というものが変わっていくことを感じることも、ある意味リアルなのかもしれません。
一点気になったのは、物語が動くまでに少し時間がかかることです。
もう少し早い段階で何かが明確になってそれに向かって具体的な考えや行動を起こす展開になった方がグッと深く早く引き込まれると思います。
このことは私の作品にも言えることだと自覚できる機会となりました。
RT企画の主題であった『謎』にかんしては、
なぜ主人公がこの世界に来たのか? どうやって来たのか? なにを成し遂げる必要があるのか?
と先が気になる作品です。
戦闘描写に力を入れている作品だと思いますので、そういった部分が好きな人も楽しく読めるのではないかと思います。
「異世界からの帰還」を題材にしたファンタジー作品です。
よくある異世界脱出モノかと思いつつ読み進めていくうちに引き込まれている自分に気付きました。
主人公「竜夫」と竜というシンプルな「二人」を軸に据えているので文章量的にはボリュームがありつつ読みやすい。こうした作品は稀有だと思います。また文体もライト過ぎず、かっちりと抑えるべきところは地の文で描き切る技量も昨今のウェブ小説にはなかなかないものと思います。
映画で言うならば70年代ノワールといったところの、ブランデーのような琥珀色の色彩が混じった風景で脳内再生される異世界モノ。ぜひ楽しんでみてください。
文章構成が、とにかく論理的で不自然さがほとんどないですね。
そこは誰が見ても褒められる美点だと思います。
なので、スーッと内容が頭に入ってくるので、非常に読みやすいです。
文章の論理性の高さ(自然さ、的確さ)では、最近読んだweb小説の中でもかなり上位の部類です。マジで。
その辺を勉強したい人には、是非勧めたい仕上がりですよ。
窮地に至ってこそ、死物狂いで打開策を考える。
非常に当たり前のことなんですが、俺TUEEEでは蔑ろにされがちな要素ですね。
そこも大事に描いているところにも非常に交換が持てます。
「真っ当な」話を読みたい人は、その説得力が嬉しいですよ、本当に。
あとキャラ造形。
生に執着するためなら、倫理など何するものぞ、という正直さが、僕は非常に好みでした。
多少、良心の逡巡が入るのも人間らしい。
良い造形だと思います。