第59回Twitter300字SS「窓」
草群 鶏
金環の術
人差し指と中指。揃えてくるりと円を描く。金色の軌跡を引いて、空がまるく切り抜かれる。
「久しぶりだな」
「うん、ごめんね」
「いや」
そばに行けない、さわれない。ただ顔を見て、言葉を交わすだけ。そもそも世界の成り立ち、ことわりが違う。出会えたこと自体が奇跡だ。
なかなか魔法の使えなかった私が、水たまりに写った彼を見つけた。驚いてすくい上げたら、金色の光が右手に宿った。これが私の魔法。
「使える術は増えたか?」
「ううん、これだけ」
「力は、大事だぞ」
そういう彼は深く傷ついているように見えた。魔法のないその国では、もう長いこと戦が続いているという。
他のどんな力もいらない。ただ、今そばに飛んでいけたらいいのに!
第59回Twitter300字SS「窓」 草群 鶏 @emily0420
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます