クリスマス当日


当日。


サンタの正装を身に纏い、袋に子ども達の夢を詰め、トナカイに曳かせたソリに乗る。


「ヨーホゥホゥ!」


聖夜の空に笑い声が響き渡る。


凄まじい速度でそりが聖夜を駆け、子ども達の元に到着する。




 煙突目掛け…………躊躇い無く飛び込む!




重量はあれど、柔軟なサンタに不可能は無い。


するすると煙突を通り抜けて部屋に辿り着く。


しかも……音も無く。






スースースー………………






子どもの寝息が聞こえる。




この子は………確か……カードゲームだったな。


袋から静かにカードを取り出し、枕元の靴下に入れる。


机の上を見るとそこにはクッキーとミルク、それに…『さんたさんありがとう』というメッセージカード。








空の皿とコップ、『Thank You』の返答を残す。














『メリークリスマス』




心の中でそう言って、音も無く去る。


無論、煙突から。












さぁ、次の家だ。








高性能なサンタ服にはススは一つも付いていない。








サンタは少数精鋭。それでいて全世界の子ども達に気付かれてはいけない。


スポットライトは浴びない。


面と向かって称賛はされない。




それでも……クリスマスの朝、いつもより早く起きた子ども達の、幸せな顔と、喜びの叫びを聞くために今日も私は行く。










それが、サンタクロースだから。


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サンタクロースはスタイリッシュ 黒銘菓短編集68弾 黒銘菓(クロメイカ/kuromeika) @kuromeika

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