第3話
そして、祐希の宣言通り学校が終わってから一度家に帰り夕飯や風呂を済ませてから21時にまた学校へ集まることとなった。僕はわざと20分ほど遅れて待ち合わせの校門へ行った。先に来るであろう二人が僕が来ないと思って帰ってくれていないかと淡い期待を抱いていたが、期待に反して二人はカメラとライト、なぜか虫採り網というフル装備で僕の到着を待っていた。
「やっと来たな!おせぇーぞ昴!5分前いや、10分前行動は基本中の基本だろ!」
「俺たちだって来たのさっきじゃん」
祐希から押し付けられた虫採り網を受け取りながらごめんと謝る。
「うとうとしてたら寝ちゃって。起きたら21ちょっと前だったから、学校に着く頃には二人は帰ってるんじゃないかと思った」
半分以上嘘で固めて僕は申し訳なさそうに話した。
「お前もかよ!千歳も寝てて起こすの大変だったんだぞ」
「だから、俺一番最初に行かないって言ったよな?なのにコイツは気持ちよく寝てる耳元で大音量で『起きろー!!』だぜ?しかも『幽霊捕まえに行くぞー!!』とか言って人の部屋で虫採り網振り回して…あの時ほどコイツに殺意が湧いた瞬間はない」
千歳は徹夜明けよりも酷い顔をして祐希の方を睨みつけている。持っているライトがミシミシと軋んだ音を立てている。
二人は幼馴染で家も近く、昔からお互いの家をよく出入りしているらしい。
「よし!メンバーもそろったことだし行くぞー!幽霊狩り!」
元気よく拳を突上げ、今が何時かも考えずに大声で騒ぐ祐希を見て千歳は心を込めた蹴りをお見舞いし、僕は家を出たときよりも憂鬱な気分になりながら渡された虫取り網を弄んだ。
幸せの青い鳥 八月 @12110811
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