第2話 ブラックアウト

冷凍食品工場で働く隠元豆貞九郎は、酷い風邪に悩まされていた。マイナス20度の世界でフォークリフトに乗り作業をし、外に出ると、夏場の強力な暑さに焼かれる。


60度近く寒暖の差があると、体調を崩す方が簡単だと言える。学歴の無さと、派遣先から正社員雇用をしてくれたので文句は言えまい。唯一の資格、フォークリフトの運転講習を受けたのが役に立ち、正社員になれたのだ。


しかし、夏風邪というのはタチが悪くなかなか治りにくい。ロッカー室で鼻をグズグス言わせながら、防寒着を羽織っていた。


近くにいたスペインかぶれの石川英臣が、鼻をグズグス言わせている隠元豆の方を見て話しかけて来た。


「アミーゴ、どうしたの?風邪?大丈夫?」

「大丈夫。ここは氷点下20度で外は30度以上あるしなあ。風邪ひいたら、治らないよ」

隠元豆は、しんどそうに答えた。


「鼻がズルズルして。ハ、ハ、ハクション!」

隠元豆がくしゃみをした瞬間、鼻水が飛びだした。石川が、思わずのけぞった。


鼻水が、ぶら下がり、プラプラ揺れていた。隠元豆が、白目を剥いて固まっている。フリーズして固まっているかのようだ。鼻から垂れている鼻水がよく見ると薄いピンク色をして、さらにちょっとぷよぷよしていた。シラコにも感じがよく似ていた。思わず手袋をした手で触ってみる。

「プニョプニョ」していた。


「おい!隠元豆!鼻から出ているの、これなんだ?」

隠元豆の身体を揺さぶると、急に意識が戻り鼻水をすすった。しばらくすると白目から黒目が上から降りてきた。


「ハリキリカタワカアヤナタタネニカアマエ」

隠元豆が、目の焦点をこちらに合わそうと一生懸命やるも焦点が合わないままそう言った。石川が怒鳴りながら言った。

「どうした?隠元豆?!」

「マリマリモリモリウンコブリブリ。ウシシウシシ」

「何だ?何だ?さっきのは、鼻水なのか?!違うのか?」

「OH! NO!」


わかった!あれ、隠元豆の脳味噌が鼻から出たんやんね??


終わり












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ウソップ物語 針井伽羅藩 @pekerochan

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