【ネタバレ注意】星の彼方 絆の果て 設定集

武石勝義

登場人物一覧

全部で五十二人もいました。多分抜けはないはず。我ながらよくこんなに思いついたもんですが、書き分け出来ているのか、甚だ不安です。


第一部 スタージア


○シンタック・タンパナウェイ……ミッダルト第七中等院四回生。銀河系人類のルーツに興味を抱く歴史好きの少年。《スタージアン》と《繋がり》、後にスタージア博物院長となる。


○ドリー・ジェスター……ミッダルト第四中等院四回生。N2B細胞の成り立ちを追究する天才少女。《スタージアン》のスカウトを断り、研究の末N2B細胞の身体調節機能を代替するAltN2Bオルタネイトを発明する。後に彼女が初代院長となったミッダルト総合学院は、彼女の名を冠してジェスター院と呼ばれるようになる。


○リュイ・ポー……シンタックの同窓にして幼馴染み。現像技師を目指している。シンタックに仄かに想いを寄せる。


○ヨサン・コニェルツ……シンタックの親友。リュイに片思い中。


○ジュダース・ウォント……スタージア博物院長。シンタックとドリーを《スタージアン》にスカウトする。



第二部 魔女


○イェッタ・レンテンベリ……テネヴェ出身。元医師の惑星開発調査員。惑星CL4調査中に現地生態系の精神感応力に触れ、自身のN2B細胞の精神感応力を覚醒させる。帰還後は市長補佐官ディーゴを自らに《繋げ》て秘書に収まり、同じく《繋がる》タンドラの描く銀河連邦構想の実現に向けて活動する。ディーゴの急死後は後継者としてテネヴェ市民議会議員となり、銀河連邦の成立に大きく寄与する。連邦成立後は連邦事務局長、テネヴェ代表連邦評議会議員を歴任。タンドラの死と前後して連邦の官僚機構を中心に精神感応的に《繋がる》超個体群《クロージアン》が誕生したのは、彼女の死に対する強烈な恐怖心に基づくものであった。


○ディーゴ・ソーヤ……テネヴェ市長キューサックのひとり息子。無目的な放蕩生活を咎められて強引に市長補佐官に就任させられるが、イェッタたちと《繋がった》後は精力的に活動し、銀河連邦構想を具体化した草案を起こす。構想実現の一環としてスタージアに向かう途上、イェッタたちとの《繋がり》が断たれたことにより不慮の死を遂げる。


○ロカ・ベンバ……テネヴェ市長キューサック・ソーヤの有能な秘書。キューサックの引退後はイェッタの秘書となる。イェッタやタンドラとは《繋がる》ことはなかったが、彼女たちの《繋がり》とそれぞれの個性の一番の理解者として、ふたりを公私に渡って支え続けた。


○タンドラ・シュレス……イェッタとは惑星開発調査隊の同僚。調査先で瀕死の重傷を負うも、イェッタの治療で一命を取り留め帰還を果たす。惑星CL4の現地生態系の在り方からテネヴェ存立のための銀河連邦構想の着想を得て、精神感応的に《繋がった》イェッタと共にその実現を図る。半身不随の状態が長く表に出ることはなかったが、イェッタとは一心同体の優秀なブレーンであり続けた。連邦の成立と《クロージアン》の誕生を見届けた後、病死する。


○キューサック・ソーヤ……惑星国家テネヴェの市長。硬軟両面に優れた老獪な政治家。息子ディーゴの献策に従い政敵ヴューラーと手を組み、銀河連邦成立に向けて奔走する。ディーゴ死後は市長の座を退くが、その後も積極的に外遊し連邦構想の各国への流布に貢献した。イェッタ、タンドラの《繋がり》を知る数少ないひとり。


○グレートルーデ・ヴューラー……テネヴェ市民議会最大会派の領袖。“黒い魔女”の異名を持つ辣腕家。惑星開発推進派だったが、計画が頓挫して後にディーゴの仲介でキューサックと和解し、銀河連邦構想の実現に協力する。キューサック引退後のテネヴェ市長を経て、銀河連邦成立後は初代連邦常任委員長に就任する。


○バジミール・アントネエフ……軍事大国ローベンダール惑星同盟下の惑星国家スレヴィア領主。テネヴェを同盟の手中に収めるべく様々な手で圧力をかける。銀河連邦成立後は安全保障局長として連邦軍と保安庁の整備に貢献し、ヴューラー後の二代目連邦常任委員長に就任する。


○ローザン・ピントン……アントネエフの腹心。策謀だけでなく事務処理能力にも長け、連邦成立後は航宙局次長、アントネエフの常任委員長就任後は連邦事務局長となる。その有能さを買われて《クロージアン》に《繋げ》られてしまう。


○ドーロ・ブリュッテル……ローベンダール惑星同盟最大の実力者にしてローベンダール派の首魁。同盟戦争参戦経験を持つ九十歳超の老人だが、その頭脳は未だ衰えることない。アントネエフにとっては最大の政敵。


○ステッド・ジェスター……惑星国家ミッダルト外務長官。アントネエフに与して連邦成立後の初代航宙局長に就く。大国の狭間で渡り歩く術に長けたしたたかな政治家。


○オーディール……スタージア博物院生の少女。《スタージアン》。イェッタとタンドラに《スタージアン》の存在を知らしめ、精神感応力の有効な活用法を教授する。



第三部 叛逆者たち


○シャレイド・ラハーンディ……先天性N2B細胞欠損症のオルタネイト常用者ユーザーであり、《スタージアン》をも唸らせるほどの優れた天然の精神感応力者。連邦が新規開拓した外縁星系コースト諸国のひとつジャランデール出身。素行不良ながらも学業優秀で、立方棋クビカの名手でもある。名門ジェスター院に進学するが在学中にジャランデール大暴動が発生し、父と兄が首謀者として捕らえられたことで身の危険を感じ出奔。その後は外縁星系人コースターの抵抗運動の組織化に暗躍し、外縁星系コースト一斉蜂起、対連邦軍戦略、戦後交渉までほとんど彼ひとりが担当した。自治領成立後は外縁星系開発局長、自治領総督を歴任。暗躍中に渡り歩いた銀河系中に子種をばらまいたとも言われ、後の自治領では“シャレイドの子”を自称する一派が一大勢力を成すことになった。立方棋クビカの棋風は躱しまくってからの絶妙なカウンター。


○モートン・ヂョウ……シャレイドのジェスター院時代の同室にして親友。テネヴェ出身。シャレイドに互する立方棋クビカの名手。特待生となるほどの学業優秀者で卒業後は実家の現像工房を継ぐ予定だったが、カナリーの死を契機に連邦保安庁へ入庁。その優秀さから《クロージアン》に《繋げ》られると安全保障局に引き上げられ、外縁星系人コースターのテロ弾圧を指揮する特別対策本部の一員となる。戦後交渉では外縁星系コースト国家の連邦自治領化案を策定した。棋風は重厚かつ柔軟。


○カナリー・ホスクローヴ……イシタナの名家出のジェスター院生。明朗活発で真っ直ぐな人となりの快活な少女。立方棋クビカを通じてシャレイドやモートンと知り合い、やがて深く交流を持つようになる。故郷イシタナへの帰還のために乗り込んだ旅客宇宙船爆破事件に巻き込まれて、短い生涯を終えた。棋風は果断速攻。


○ジノ・カプリ……シャレイドの一年次上のジェスター院生。優等生然としているが芯は強い。卒業後は法律事務所を経てゴタン代表連邦評議会議員となり、第一世代と外縁星系人コースターの諍いを取り除くべく奔走する。彼もまた立方棋クビカを嗜み、棋風は定石を踏まえた正面攻撃。


○フランゼリカ・ゲラント……ジノと同窓で恋人だったが、シャレイドの誘いに靡いたりと奔放な性格。だがジャランデール大暴動で唯一の肉親の姉を惨殺されたことにより、外縁星系人コースターへの復讐に身を投じる。後に保安庁管理官としてシャレイド捕縛に執念を燃やすが、逆に返り討ちに遭い命を落とす。


○アッカビー……ジノの友人にして同室。第一世代であることを誇るあまり外縁星系人コースターを毛嫌いし、直情径行の性格も相まってしばしばトラブルを起こす。


○ジェネバ・ンゼマ……教職者だったシャレイドの祖父ブライムの最後の生徒。ジェスター院を経て連邦通商局で働いていたが、ジャランデール大暴動後は政界に転じた。ジャランデール代表連邦評議会議員として外縁星系人コースター弾圧に抗し、一斉蜂起後は外縁星系コースト諸国連合を首班として率いる。後に自治領初代総督に就任し、自治領の発展によく尽くした。


○モズ……シャレイドやジェネバの知己。保安庁ジャランデール支部の現地採用職員として働いていたが、一斉蜂起時には蜂起側に回ってジェネバの指揮下に入る。その後連邦軍とのトゥーラン、スタージア各星系での戦いに軍事顧問として参加し、彼の立案した作戦により外縁星系コースト諸国連合は大勝利を収めた、と伝わる。


○ヘレ・キュンター……ローベンダール代表連邦評議会議員。ローベンダール五大財閥の系譜に連なる一員。外縁星系コースト動乱末期に常任委員長となり、講和条約を結んだ。


○ジンバシー……外縁星系コースト諸国のひとつトゥーランの高官。


○クレーグ・ホスクローヴ……カナリーの父。歴戦の名将の誉れ高く、銀河連邦軍の指揮官として外縁星系コースト諸国連合軍と対峙する。トゥーラン星系の戦いでは見事勝利を収めるが、スタージア星系の戦いではモズの仕掛けた(ことになっている)罠に嵌まり、大敗。責任を取って退官し、故郷イシタナに隠棲した。カナリーの立方棋クビカの師でもある。棋風はあらゆる局面に対応可能なオールラウンド型。


○サード・ラハーンディ……シャレイドの父。ジャランデール行政府の財務担当者だったが、大暴動の首謀者と見做されて逮捕され獄死する。


○アキム・ラハーンディ……シャレイドの兄。シャレイドの才能をいち早く見抜いていた。父と共に大暴動の首謀者として逮捕され、後に釈放されるも間もなく死亡。


○ブライム・ラハーンディ……シャレイドの祖父。故人。元はジェスター院でドリー・ジェスターの下で働いていたが、外縁星系コースト開発を促す氏の言葉に促されてジャランデールに進出し、教育普及に従事する。ジャランデールでは名士的な存在として知られている。


○アンゼロ・ソルナレス……スタージア博物院長。《スタージアン》。《オーグ》の接近を案じて《星の彼方》方面の極小質量宙域ヴォイドを封鎖するため、シャレイドに一計を持ちかける。



第四部 天空播種


○ジューン・カーダ……スタージアで生まれ育った少女。親友ミゼールとスヴィと共に宇宙船乗りを目指すが果たせず、彼らを見守り続けるために《繋がれし者》となることを選んだ。ふたりが惑星エルトランザの調査で落命後は彼らの忘れ形見カーロを引き取り、養親となる。後のスタージア博物院長。


○バルトロミゼール(ミゼール)・デッソ……ジューンの幼馴染みで、宇宙探検に憧れを抱く少年。長じて宇宙船乗りとなり、惑星エルトランザの調査で多大な成果を持ち帰るが、帰途の事故の影響で帰還後間もなく死亡する。


○スヴィ・ノマ……ジューンとミゼールが中等院で出会った好奇心旺盛な少女。長じてミゼールと共に宇宙船乗りとなり、彼の妻となって男児カーロを儲ける。惑星エルトランザ調査から帰還途中、事故によって大破寸前だった宇宙船を修理するも、自らは宇宙に投げ出されて行方不明となった。


○キンクァイナ……ジューンたちの中等院の導師で《繋がれし者》。宇宙船乗りの夢破れたジューンに《繋がれし者》となることを促す。


○カーロ・デッソ……ミゼールとスヴィの子。両親の死後はジューンの下で育てられ、その影響で《繋がれし者》や《オーグ》の存在にも詳しい。後に惑星エルトランザへの開拓移民団長となり、その成功のために《オーグ》の秘術を開示するようジューンに迫る。



第五部 ハーヴェスト・レイン


○ファナ・カザール(クライケ)……惑星タラベルソの養護施設育ち。双子の弟ユタとは強力な双生児性精神感応力で《繋がって》おり、その有効範囲は銀河連邦の半分あまりの距離をカバーする。タラベルソを脱出しようとするラセンに拾われその養子となり、中等院卒業後は養父を慕って彼の貿易商船『バスタード号』の船員となる。《オーグ》は彼女の精神感応力を獲得したことで、第七世界を急速に《繋げる》こととなった。大邂逅後はラセンと共に《オーグ》の母星“地球”を目指す。


○ユタ・カザール(クライケ)……ファナの双子の弟。姉同様にラセンの養子となり、ジャランデールのファイハ家で育つ。ウールディのボディガード兼従者を自認するが、それが彼女への好意によるものか使命感からなのか、彼自身にも判然としない。ウールディに従ってスタージア博物院生となり、その後は《オーグ》の脅威に立ち向かうため惑星クロージアに赴く。


○ウールディ・ファイハ……先天性N2B細胞欠損にして、曾祖父シャレイド・ラハーンディに並ぶと称される天然の精神感応力者。自治領総督ラージの妾腹だが、異母兄たちとの仲は極めて良好。思春期には己の能力故の人間関係に悩まされたが、ファナやユタと出会って立ち直った。その後スタージア博物院生となって精神感応力の研究に励む。常に側にいるユタには好意以上のものを抱いているが、他人の思念に受け身であり続けてきたため自ら意思を示すのが苦手。《オーグ》の脅威を排除するため、ユタと共にクロージアに向かう。


○ラセン・カザール……貿易商船『バスタード号』船長。N2B細胞保有者ノーマル。自治領総督ラージの妾腹で、商人を隠れ蓑にした自治領内外の諜報活動を担っている。無愛想かつ偏屈な巨漢だが、父以外の家族に対しては異母弟妹からその母親まで含めて親愛の情が濃い。惑星スレヴィアを調査で訪れた際、《オーグ》の《繋がり》に呑み込まれてしまう。大邂逅後はファナと共に“地球”を目指す。


○ルスラン・ラハーンディ……ラハーンディ家の嫡男。ラセンの異母弟、ウールディの異母兄に当たる。先天性N2B細胞欠損者。自治領総督府で父の補佐を務めていたが、その父の命により外縁星系開発局長としてテネヴェに赴く。多少線が細いのが玉に瑕だが、冷静かつ聡明で常識をわきまえた青年。大邂逅後は第七世界の指導的立場として奮闘する。本当は彼の立方棋クビカ対局シーンをもっと書く予定だったのを忘れてた。


○ヴァネット……ラセンの幼馴染みにして『バスタード号』船員。公私に渡ってラセンの長年のパートナーを務めてきた。ファナにとっても信頼の置ける姉的な存在だったが、スレヴィアで《オーグ》に呑み込まれてしまい、逃げるファナを追う内に高層階から転落死してしまう。だが彼女の記憶は“地球”にある《オーグ》の機械に保存されており、ラセンとファナは彼女の仮想思念との再会を求めて“地球”を目指す動機となった。


○ラージ・ラハーンディ……ウールディ、ラセン、ルスランの父。トゥーラン自治領総督にしてシャレイドの孫に当たる。自治領の存続に努める政治家であり、同時に《スタージアン》と《クロージアン》の間を取り持つという一族の役目にも忠実であろうとする。それぞれ違う女と子を儲けたのは、ひとえにシャレイドの特異体質を絶やさないためであった。


○エカテ・ランプレー……タラベルソ代表連邦評議会議員。銀河ネットワーク構想を提唱しその実現に向けて邁進するが、全ては大途絶グランダウンに陥った故郷タラベルソの調査に向かった際に《オーグ》に精神矯正を施されたためであった。


○カーリーン・ファウンドルフ……銀河連邦事務局長。《クロージアン》。プラチナブロンドとグラマラスな容姿が特徴的な妖艶な女性。《オーグ》排除後に《クロージアン》が支配する銀河系人類社会を目論む一方で、ファナを《オーグ》から取り戻すべく手を尽くした。両親とも《クロージアン》という生まれながらに《繋がった》身である。


○ハイザッグ・オビヴィレ……銀河連邦常任委員長。個人的な信念は持ち合わせていないが、空気を読むことには鼻がきく。


○ジュアン・フォン……スタージア博物院長。《スタージアン》。見かけは穏やかで取り立てて特徴のない中年男性。《オーグ》排除を様々に画策し、その最後の手段としてウールディとユタをクロージアに送り込んだ。


○ベルタ・マドローゾ……ウールディの中等院時代の友人。利己的な性格を笑顔で繕うしたたかさを持つが、読心者のウールディに対しては裏表なく接する。進学したジェスター院でジョンセンと出会い、後に彼に嫁ぐ。


○リオーレ・マドローゾ……ベルタの兄。ジャランデールに拠点を置く星間流通企業マドローゾ商会の跡継ぎ。


○ジョンセン・ガーク……エルトランザ領デスタンザの支配者ガーク家の嫡男。ジェスター院生時代に知り合ったベルタを娶る。卒業後に就いたデスタンザ守備隊長として、デスタンザ星系近辺に漂う未確認物体を鹵獲する。


○デヤン・ガーク……デスタンザを代々支配するガーク家当主。サカや正統バララトの音信不通という非常事態を受けて、エルトランザの銀河連邦加盟を画策する。


○シャーラ・ファイハ……ウールディの母。先天性N2B細胞欠損者にして天然の精神感応力者。彼女の出身の村は代々彼女のような読心者が生まれやすい一族であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る