エピローグ

 ──大丈夫、あなたがいるから、もう怖くない。

 紅ではじまった命は、紅い炎で終わる。

 それがたとえ残酷なものでも、二人の余韻は消えはしない。


 そう──消えはしない。消えはしないのだ。だからこそ、彼は、私に想いは伝えるべきではなかったのだ。真実を伝えるべきではなかったのだ。

 何も知らないままでいれたなら、真実を知らないままで在れたなら、あるいは違う結末があったのかもしれない。


 黒の世界は〝意識〟という枠の中では、すべてに等しい。

 ヒトも、獣も、植物も、それがたとえ──私のように呪物であったとしても。


 穴の空いたあの純黒の空から、あなたがこぼれ落ちないように。

 穴の空いたこの純白の空から私が──再びこぼれ堕ちないように。


 わたしは、あなたのそばにいよう。

 どんなときでも、なみだをぬぐえるように、あなたの、に──。

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アイマイミー 山儀篤史 @ash_suit

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