主人公レックスは100万回転生している。そしてそのすべての人生がハードモードで早死にしている。今世こそは90歳まで必ず生きて目的を達成するという、強い決意とともに生まれ、生きている。長生きしたいという思いは生涯にわたって持ち続けるのだが、その人生の中で長生きすることだけを考えるなら必要ない、むしろ害になるようなことを何度もしてしまう。そんな主人公の行動や心情に人間味を感じ、深く共感する。この世に生を受けた瞬間から終わりを迎える時までが描かれている。

とにかく没入感が半端ない。面白い。絶対に後悔しないから読んでほしい！

この作品には、他の作品によく出てくる超常的な力や派手な描写はひとつもありません。
でもそれがなくとも人はこんなにも美しく、強く生きられるんだということを教えてくれる作品です。

生まれて、出会って、別れて、また出会う
気づけば完結まであっという間に読んでしまいました
質の良い映画を見終わった後のような後味です

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（284文字）

色々と考えさせられる名作。子供から老人まですべての人に読んでほしい。

仕事が終わって退勤中に電車の中でこの小説を読むのが日課でしたが、俺はここ最近電車でしゃくりあげて涙を流す奇人と化していました。
電車で読むのはお勧めしません。

百万回の人生経験とか、不憫な過去とか関係ない。
レックスとして歩んだ、ただ一度の人生。
最後の最期に人を愛せた、幸福な男のお話。

彼の人生は怒涛の勢いで過ぎて行き、読了後は一つの人生や歴史を思い浮かばせる。
この世界で彼は死ねたのだと僕は思ってる。
もしかしたら、どの世界でもそうだったのかもしれない。
でも、僕はレックスやその考え、取り巻く世界を忘れないと思う

商業展開している他の作品なども含めてこの作者のお話は、良く言えば描写が淡白な作品が多いのですが、このお話は淡白だからこそ心に染みるお話になったと思います。
普通なら長時間の時間スキップ描写は、その間に何があったのか？という部分をしっかりと描写しないと読者に伝わりづらいです、
しかしこの作風故にそれらが無理なくスッと読み手に伝わるようになっています。
万人に勧めたい非常に良質な作品だと思います。