さよならから始まる再開

靖子

第1話さよなら…そして再会

私はどうやら死んでしまったようだ。初めて愛を教えてくれた大切な人を残して…

死んだ理由…それは事件でも自殺でもない

車を運転していた男性が運転中に発作を起こし、信号待ちをしていた私めがけてぶつかってきたのだ。いきなりの出来事で体が動かなかった。覚えているのはそこまでだ。何故なら私は即死だったからだ。運転手が発作を起こしての事故を理解できたのは、私の体から魂がスッと抜け運転手を見下ろす事が出来たからだ。私の記憶は体から魂が抜けたとき復活したのだ。又私は誰にも気づかれない存在に戻ってしまったのだと、意外にも冷静に受け止める事が出来た。

暫く横たわる私の体を見ていると、頭上を眩しい光が照らし始め私は目をこらしながら、その光に吸い込まれるよう私の体がふわふわと浮き始めた。こんな何の役割も果たせていない私でも天に召される事もあるんだ…と

でも心には愛する人にもう一度会いたい、どんな姿になっても…と強く願い目を閉じた。

彼女の魂が天に昇りもうどれ程の月日が流れたのだろう、彼女の愛する人も又彼女が居なくなって以来誰を愛する事もなく、彼女との短くも愛おしい日々を思いながらこの世界から居なくなっていた。


「お母さん、あのね、又僕お友達にからかわれたんだ…もう学校行くの嫌だよ」


「どうしたの?お友達に何か言われたの?」


「…女の子みたいだから一緒に遊んでやらないって…みんながそう言うの…」


「ちょっとからかっただけよ、気にしちゃ駄目よ、リュウは少しみんなより色白できゃしゃだからそう言っただけ、もう少し大きくなったら日に焼けて男の子みたいにたくましくなるわ、だからお外で遊ばないとね」

リュウはこの春小学生になったばかり、周りの男の子達はリュウよりも少し背も高く、サッカーや野球など野外で元気に走り回っている。一方リュウは人見知りで1人部屋にこもって本を読んだり、オンラインゲームで時間をつぶしていた。オンラインゲームの中だけは自分が唯一本当の自分になれる場所でもあり、顔も知らない誰かと狩りに行ったり、おしゃべりしたり、友達と呼べる者も何人かいるようだった。

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さよならから始まる再開 靖子 @qooman

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