エピローグ
【2019年4月26日(金)PM 4:00 @文芸部室】
本をめくる音と部活動の音だけが聞こえる。昨日はドタバタしたが、これが本来の文芸部の姿だ。本を読み始めて20分ほど経ったとき、部室のドアがトントンとノックされた。
「ついに新入部員が!」
玲は勢い良くドアを開けた。どうせ江戸川先生が年間スケジュールのことで来たのかと思ったが、そこに立っていたのは土居さんだった。手にはなんと入部届を持っている!
「昨日はお世話になりました。1年1組の土居です。文芸部への入部を希望します。」
玲はあまりの嬉しさに半ば放心状態となっている。
「まさか、玲に脅されたとかじゃないだろうな?昨日のことは誰にも言わないから、もう気にしなくていいよ。」
「いえ、もともと部活動を何にしようか決めかねていましたので。昨日の石倉さんと楠川さんが本当に楽しそうにされているのを見て、入部しようと決めたんです。」
玲はともかく俺はそこまで楽しんでいたわけではない。。。
いや、案外楽しんでたのかもな。
1人増えたからといって日々の活動が特に変わるわけでもないし、ここは素直に歓迎すべきだろう。俺は土居さんから入部届を受け取った。
1年1組 土居菜々子
これまた玲が喜びそうな名前だ。
本棚から赤色の装丁の文庫本を取り出し、土居さんに渡した。本の説明は玲がやってくれるだろう。
Baby's breath 終わり
【日常系推理短編】Baby's breath 逢内晶(あいうちあき) @aiuchi0618
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