第252話 うどんによる軽いまとめ

 どうも~。

 主様の一のしもべであるうどんが、これまでをかるーく纏めてみますよ。

 えっ? わたしを知らない?

 じゃあ、まずはわたしの自己紹介をさせて頂きますね。 

 昔は妲己、玉藻御前などと呼ばれていた事もありました、九尾の狐であるうどんです。

 あっ、九尾の狐と聞いて妖怪だとか思われました?

 最近の方たちはなぜか皆さま……主様もそうですが、大変勘違いされているようですけれど、わたしはあくまでも瑞獣という吉兆の前に現れるという、とても位の高い霊獣ですよ? 麒麟とかと一緒です。確かにどっかの物書きが妖怪と記した書物もあるらしいですけれど、違いますからね? そこのところをよーく覚えておいてください。まぁ今は主様の召喚獣ではあるんですけど……特別は特別なんです。そこらにいるような河童とかと同じ括りの妖怪と一緒にしないでください。

 あっ、あと、吉兆と聞いて囁き女将を思い出した人いるかもしれませんが、まったくの無関係ですからね? というかあの女将の方がよっぽど妖怪ですよ。

 あとですね、妲己とか玉藻御前と呼ばれていた時の事から、わたしがとても腹黒く悪い物の怪的に思われる事が多いんですけど、アレは時の権力者が好き勝手したのを、わたしのせいにしていた話が伝わっているだけですから。 本当に人間というのは、業が深い生き物ですよ、ええ。 それは主様の召喚獣として生を過ごしている今も本当に思いますね。 誰もが欲を張って、主様や主様の想い人である香織の力を我が物にしたがったり、私欲を満たすための道具にしか見ていない人が多いんですからね。


 ではそろそろ本題です、ええ、これまでの主様の歩みと世の情勢ってのを軽く纏めますね。

 主様の名前は横川一太。 ダンジョン内で拾われたんですけれど、その場所の横に川があったから横川。下の名前の由来は、名づけをする役人がその時机に足の小指をぶつけて「イッタ! 」と叫んだからです……あっ、これは主様は知らないんだった。

 まぁそんなギャグのような名づけをされた主様は幼き頃から一途……一途? 家の近くをウロウロしたり覗いたり付け回したりしつつ恋焦がれていた如月香織、主様だけではなく世の男どもを魅了するほどの容姿を持つ上に、ジョブが勇者ともあって、厄介な組織に狙われている存在です。ちなみにわたしの名付け親でもあります……きつねからの連想でうどんですよ? 残念美人という言葉を今世で知りました、ええ。 


 主様は初ステータス表示の際に、この世に唯一のNINJAという職を得ました。

 このステータスやジョブというシステムは、人間に大きな可能性を与えてくれるものです。ただ、それはあくまでも努力をしなければ得られないのです。 それをわからず、ダンジョンに潜るのに有用である職というだけで、嘆かわしい事にそれに胡坐をかいている者が多勢を占めていたりします。 さらにいえば、果て無き努力を重ねれば本当に人間なのか疑わしい程の身体能力を手に入れる事さえ手に入れる事が出来るのがステータスというシステムなのです。 その顕著な例が主様を教え導くお師匠様たちですよ。 わたし、その昔に陰陽師と対峙した時よりも怖い想いをするなんて思いもしませんでしたよ、なんですかアレ。 まぁそんなお師匠様たちの指示を、なんだかんだ言いながら素直に聞いて努力した主様と香織は、今や尋常じゃないほどの力を有するようになったんですけどね。そのせいで世界中から力を狙われているんですけどね。


 っと一言で纏めるとこういう事なんですけども……えっ? 端折り過ぎ? ここからは宝石とか、キラキラ光るモノについて話しません? それがダメなら、なぜロンが頑なに人化しないかとか……まぁロンはタイミングを逃しただけなんですけどね。召喚獣だけになった時には、「主様が強く人化してくれと言ってくれれば」。 とかブツブツ漏らしてるんです。これで神の名が付くとか……ねぇ?


 じゃあ改めてここ最近の主様の行動を纏めましょうか。

 お師匠様たちと香織と一緒にパーティーを組んで修行と戦闘に明け暮れる日々。そんな中、その圧倒的な力を我が物にしようと現れる国内の組織や外国勢力。 その中には香織が親友だと思っていた元パーティーメンバーや、事あるごとに主様を愚弄していた同級生がいたり、お師匠様の組織の一部だったりが現れるも、傷を負いながら退けてきたんです。

 そんな中、主様の強い想いが通じたのか、吊り橋効果なのかはわかりませんが、香織も心を開きついに結ばれる事となったのです。

 だけどイチャイチャしている暇なんてそんなになく、下へ下へとダンジョンを潜り続ける日々。

 そしてついには修練の結果、唯一職である勇者とNINJAの2人は、お師匠様たちよりも力を得る事となり、たった2人で潜り続けてる事に。

 ただ世界にはまだまだ私欲のために勇者を利用しようと、我が手にしようと考える者がいたんです。それがダンジョン教、ダンジョンは神が齎したものであり、唯一職である勇者は尊いものであるとか言って手に入れようと画策し始めたんです。あまりにもうるさいから主様たちはダンジョンに籠りっきりに……とっとと物理的に滅ぼせばいいのに。放っておくからどんどんと精力を増して、世間を巻き込んで声高に勇者を求めだしたんです。SNSとかそういうのを利用して……今ってスゴイですよね? 今度わたしも地上に出たら動画デビューしようかって思っているんですよ、この美貌であれば簡単に盾とか貰えそうだなって。


 ……ヒッ! 殺気が……!! お師匠様!世を惑わすわけではないですよ? たまにはちやほやされたいだけなんです! 本当ですから殺気をお納めくださいっ!!


 あっ、えっと……そう、ダンジョン教の話でした。

 香織の美貌なども相まって、勇者を表舞台に引っ張り出そうと画策するヤツラがどんどんと増える日々。

 そんな中ギリシャでスタンピードが起きたんですけど、自分の欲の為ならば他人が死のうがいいらしく、周辺国は国境を封鎖するだけで溢れ出たモンスターを退治せず、勇者に助けに来いと叫ぶばかりなんです。

 えっ? さっきの自分の言動を思い出せ? 何を言っているのか……いいんです、わたしは召喚獣ですし。


 香織が素直に出て行くはずもなく、ストレスを抱えながら主様のスキル内やダンジョンに籠り続ける日々を送っていたら、今度はお師匠様たちの組織をターゲットにして非難し始めたんですよ。そして主様を魔王……主様が魔王だなんて、威厳も何もないのにププッ。お師匠様とか河童の方がよっぽど……。


 あっ、ち、違うんです!!

 今のは冗談ですよ、九尾ジョークってヤツですから!!

 だからその妖しく光る刀を仕舞ってください!!

 えっ?問答無用? それにあくまでも手合わせ?

 ちょっ、ちょっと用事が出来ましたのでこの辺でっ!!

 主様あとはお任せします!!

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憧れのあの子はダンジョンシーカー〜僕は彼女を追いかける?〜 マニアックパンダ @rin_rin_rin

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