第2話 姫と魔術師

「・・・レア、エレア!」

【サテノラ王国、王城の一室。王女・エレアのへや】

時計の針は十二を指していて、窓からは光は差し込んできていない。ただ暗く重たい空が広がる、深夜12時。第2王女エレアのへやに公爵家第三令嬢のメリアは忍び込んでいた。

「ん・・・メリア?なぁに?」

「エレア!貴女ね、少し前、勇者パーティーそのうちの一人になるのが夢だっていってたでしょう?」

エレアは眠く、重たい瞼を少し開いて曖昧な記憶を呼び起こす。

「そんなこともあったわね・・・」

「貴女がその、勇者なの・・・」

「?メリア、話が突飛すぎてよく解らないわ・・・」

「・・・いい、よく聞いてね」

メリアの家、マリアージュ公爵家には家系マジュツという代々伝わる秘法がある。そのうちのひとつは先天的なもので産まれたときから扱える。

メリアはこの世に産まれたとき、【未来予知夢】の力を与えられた。眠る度に近い未来のことを時の神と呼ばれるレクティナが教えてくれる。

「つまり、私が明日の王室一斉洗礼式で勇者としてのお告げが降る夢・・・?」

「ええ。他に各地に散らばっているパーティーの仲間を集めよとのお告げも。まず、私、メリア・マリアージュ公爵第3令嬢。それから東方の地域にすんでいる【蒼のナナレーア】、西方の地域にすんでいる【白の雪蘭ゆらん】、南方の地域にすんでいる【光のトレージア】。」

「メリア・・・。ナナレーア、雪蘭、トレージア・・・。楽しそうね。よしっ、メリア、私決めたわ!勇者になる!んでもって、姫としての勇者パーティーの役割も果たす!私は姫だけど姫じゃない、勇者だけど勇者じゃない。そんな人生を歩んでみせる!私たち、5人の手で!」

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姫が勇者な冒険譚 雪月華@33331111 @33331111

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