第3話 夕景、ひとつの空
滲んでいく夕焼けは、とても美しかった。
薄い雲の合間に見える、鮮やかな茜色の光と影。
じゃあ、その反対側の空は。
いつもの変わらない、普遍的な青空。
流れていく雲と、少しくすんだような淡い色合い。
みんながイメージするような、日暮れとは違うけれど。
この空の色も、雲も、何もかも、夕景を創るひとつの空だから。
君は、あの綺麗な茜色。
僕は、その反対に静かに佇むくすんだ青。
僕といることで、君がより美しく輝けるように。
僕は、今日もまたくすんだ笑顔を見せる。
君は空で、僕も空。
君も僕も、姿形は全然違うけれど、それでも、たったひとつの空だから。
さあ、一緒に昼を夜に繋ごう。
僕らは一瞬しかここに居られないけれど、それでも、太陽と月との橋になろう。
君の綺麗な笑顔と、僕のくすんだ笑顔で。
ほら、もうすぐ、夜が始まる。
空が笑う 九条ねぎ @nokochan
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