愛に傷ついた女王は、愛によって癒される。

 死にかけの青年が出会ったのは、一人の美しき女性だった。
 カルミナの民。民間伝承で言うところの、吸血鬼。
 その血を受け、彼が命を繋いだとき、物語は動き出す。

 愛する従者に裏切られ、心傷つき、無気力に暮らす女性、ヴァイオレット。
 偶然の出会いから、その傍にいるラスティは能天気で捉えどころがない。ただ、彼女に救われたことに感謝し、その彼女に惹かれていく。
 ヴァイオレットもまた、彼の優しさに惹かれ、その心を許していくようになる。
 血を飲み交わし合い、絆を深めるカルミナの民。
 だが、そこに忍び寄る不穏な影――今、彼ら血族の絆が試される。

 文章から漂う、甘美な香りが物語を彩り、人物たちの心を引き立てていく。
 血と花が咲き誇る庭園の、優しく切ない物語。

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